Tropico
トロピコ

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メディアクエスト (日本語版)
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我が良きトロピコ島



■ ゲームについて

 「 Tropico 」は南の島を舞台にした、箱庭風の国家運営ゲームです。
 プレイヤーはトロピコ島のプレシデンテ(大統領)となり、陽気でマイペースな住民の要望に応え ── 時には弾圧しつつ、様々な産業を興して国を富ませ、ついでに自分のフトコロも豊かにして、大統領選挙にも打ち勝ち、長い治世を目指してゆきます。

 大統領となったプレイヤーは、のんびりとしたトロピコの住民の為に ── そして自分の財産を増やすために、色々な施設を建設して住民に運営をさせます。
 住民のために家や教会を建て、トウモロコシやサトウキビなどの農地を開拓し、さらには工場を建設して農産物の加工製品を生産、そしてそれを輸出して外貨を稼いでゆきます。
 また、この美しいトロピコ島は、観光の名所にもなります。
 ホテルを建て、観光名所やおみやげ屋、さらにはプールやカジノを作り、観光客を楽しませれば、外貨はドッサリと入ってくるでしょう。

 こうして、のどかなトロピコ島に産業を興し、「国」として発展させるのですが、そこに大統領としての「地位の確保」という要素が関わってきます。

 数年に一度、トロピコでは住民から総選挙の声が挙がります。 治世に問題がなければ選挙に当選し、この島の統治を続けることができるでしょう。 (もちろん、票を操作したり、対立候補を排除することも……)
 しかし、色々な派閥(資本主義・共産主義・宗教家…等々)や住民の不満が高まっていると、選挙に落選 ── 最悪の場合にはクーデターを起こされて国外追放。
 アッサリと大統領の座から転落・ゲームオーバーとなってしまいます。

 さらに、このトロピコ島は資本主義のアメリカと社会主義のソビエトという、2大大国の干渉を受けています。
 大統領のちょっとした行動(労働者の賃上げや産業の振興…等々)により両国政府の感情は揺れ、時には多額の援助を引き出すほど関係が深まり、時には軍事干渉にまで発展するほど関係が悪化します。

 いつ終わってもおかしくない緊張感、そして、それを回避する為の狡猾さのバランスは、発展するだけではないテンポを生みだしてくれます。

 このゲームのテンポは、舞台となるトロピコ島がそう広くもなく、治世の期間が50年と決められているため、プレイ時間も比較的短くて軽快です。
 (50年を過ぎても延々とプレイできますが)

 経済を中心に治めた後は、住民の幸福を目指し、次は私腹を肥やす独裁者………と、何度も様々なプレイを楽しめるので飽きが来ません。

 さらに忘れてならないのは、このゲームの音楽です。
 陽気で涼しげなラテン音楽は、南の島の雰囲気を堪能させてくれるでしょう。



発展した中心街〜。
海とバナナ畑が見える場所です。

その土地に向いた産業の分布図です。
島はプレイのたびにランダムに生成されます。
ちなみにこれはコーヒーに向いた土地。



■ 主な施設と産業

◆ 宮殿
 ここが、プレイヤー = プレシデンテ(大統領)の住まいです。
 資金繰りに余裕が出来たら、周囲を綺麗に飾り立てたり銅像や噴水を建ててみましょう。 通りかかる住民からの敬意が上がる、かもしれません。


◆ 建設事務所
 トロピコの「基幹産業」です。
 ここの労働者が、トロピコの様々な施設を立ててゆきます。
 建設労働者は自宅・会社・建築現場を行き来するので、発展させたい方向へ会社を増設してゆきましょう。 建設する時間はなかなか貴重です。

◆ 運送会社
 トロピコの「大動脈」です。
 ここの運搬人が、手押し車で農場の農作物や工場の生産物を輸送します。
 運搬人の数が少なかったり、会社と依頼主の距離が遠かったりすると、生産物の在庫は増えてゆくだけで儲けが出ないので、物品の流れを助けるように会社を増設してゆきましょう。

◆ 桟橋
 トロピコの玄関口です。
 運送会社の運んだ荷物はここに降ろされ、海外へ輸出されてゆきます。
 荷物が増えてきて、さばききれなくなってきたら、増設しましょう。
 海外からの移民や観光客も、ここから出入国します。

◆ 道路
 トロピコの動脈です………と言いたいところですが、ふだん住民たちは道など気にせず行き来します。
 ただし、急な地形がある場合は喜んでここを歩き、スピードも上がります。
 坂を越えた通勤や、運送の速度を上げるためには、とても重要です。



一面のバナナ畑


高地のコーヒー畑

◆ 畑
 様々な種類の農作物を生産します。
 食料となるトウモロコシ、輸出しても儲かるバナナやパパイヤ、加工すると儲かるコーヒーやパイナップル、ラム酒になるサトウキビ、高価なタバコ、等々、好みと戦略で作ってゆきましょう。
 農作物は降雨量などの環境によって生産量が上下します。 また、種蒔きから収穫まで時間が掛かるので、長いスパンでの戦略が必要です。


バナナ缶や缶コーヒーを作る缶詰工場です


当たれば儲かるラム酒工場です

◆ 工場
 生産された農作物や鉱物を加工して、「製品」にします。
 製品にするとそのまま輸出するよりも高く海外に売れます。


◆ 伐採所
 島の木を伐採します。
 木材を売ることで序盤で手っ取り早く外貨を稼げ、更地になった場所には建物を建てやすくなります。
 ただし、あまり伐採すると島の環境や美観が損なわれ、農作物の収穫と観光客の入りに影響を及ぼします。

◆ 鉱山
 島にある鉱物を採鉱します。
 鉱脈はほとんどの場合、山のてっぺんにあるので、運搬のための運送会社と道路が重要になります。
 特に金鉱はうまく稼働すると儲かりますが、島の環境や美観に影響を及ぼすので、鉱脈の場所によっては諦めなくてはならないこともあります。

◆ 発電所
 島に「電気」を供給します。
 電気が供給されると、病院・放送局・高級ホテル・カジノなどを建てることができるので、島の西洋文明度は格段にアップします。
 しかし、風下の環境が悪化するので、建てる場所は悩むかもしれません。



海の見えるホテル


観光名物の「遺跡」です

◆ 観光地
 トロピコに観光客を呼びます。
 観光客は、ホテルに泊まり、観光地をフラフラしたり、ビーチでのんびり寝そべって、トロピコ島でのバカンスを満喫し、外貨をゴッソリ落としてくれます。
 おみやげ屋やカジノ、ナイトクラブを建設すれば、さらにお金を落としてくれるかもしれません。



■ 住民のせいかつ

「俺、建設労働者。 最近、飯場から安アパートへと引っ越し。
 給料上がったら、海岸の一軒家に住むつもり。」
「まずは建設事務所に出勤。
  現場は、……遠いな〜。」
 「働く。 こんな場所にどデカイ建物を建てるなんて、無茶!
  地ならしが大変だったけど、やっと建物にとりかかる。」
 「帰りに、パブでちょっとパイイチだ。
   ういっ!」

 「今日は休みの日なので、教会へ行く。
  こう見えても信心深いのだ。」
 「市場で食料の買い出し。
  そのあとレストランで家族と外食。
  ちょっとした楽しみ。」

 「身体が資本なので診療所へ。 無料だから気楽だ。
  医者が言うには……何?飲み過ぎだ? べらんめえ!」
 「プレシデンテから『識字率アップ』の布告があったので、
  コレ幸いとしばらく学問に打ち込む。 タダで。
  そうすれば、も少し楽な仕事にありつけるのだ。
  でも、勉強中は無職。」
 「ふむふむ。
  今まで勘で新聞を見ていたのだが、文字が読めるようになったので、
  ニュースと広告の区別は付くようになった。
  ラジオの音楽を聞きながら、トロピコ名物のコーヒーを一杯。
  ビバ〜、プレシデンテ〜♪」



■ プレシデンテのせいかつ
(日記「いつも通り」2003年3月分より)
◆ 「プレシデンテ・第1の挑戦」

〜 大統領官邸にて
秘書官 「……と、ゆーわけで、これから貴方がこの島のプレシデンテです。
      どぞ、よろしく。」
大統領 「何が『と、ゆーわけで』なのか良くわからんが、よくわかった。」
秘書官 「まずは何をいたしましょう?」
大統領 「うむ。 まずは儲かりそうな作物の畑を作る。」
秘書官 「タバコですか? 生産も安定しておりますしお勧めです。」
大統領 「うんにゃ、サトウキビ。 んで、後でラム酒に加工。おーけー?」
秘書官 「(へそ曲がりめ……)」
大統領 「なんぞ言ったか?」
秘書官 「いえ何も。」
大統領 「それから、コーンねコーン畑。 ハラが減っては何も出来ん。」
秘書官 「ヤルッツェ・ブラッケン!」
大統領 「お前、それ以上何か言ったら銃殺するから。」

秘書官 「プレーシデーンテ、国庫は順調に潤っております。」
大統領 「うむ。 その割に国民の不満が多いなー。」
秘書官 「あ、それなら…。」
大統領 「資金の還元が一番ね。 皆の給料上げよか。」
秘書官 「いや、しかし…。」
大統領 「娯楽も大事だぞ。 安く飲めるパブも作ろう。」
秘書官 「それから…。」
大統領 「偉大な大統領は福祉だって忘れん。 診療所も建設だ。」
秘書官 「それに加えて…。」
大統領 「もちろん、次の手も考えている!」
秘書官 「おお、では。」
大統領 「見よ、このコーヒー栽培に適した土地を!
     ここに一大コーヒー農園をつくるのだ!!」
秘書官 「それも、良いお考えですが…。」
大統領 「おお、そうか、ラム酒工場を忘れていたな。」
秘書官 「………ぷれしで〜んて〜……。」

大統領 「何か爆発的に国民の不満が高まってきているな。」
秘書官 「そのようです。」
大統領 「怒って何やら煽動している奴もいるし。」
秘書官 「危険ですな。」
大統領 「…さらに何だ、この汚い掘っ建て小屋の増殖は?
     官邸の庭にまで小屋が建っているぞ!!」
秘書官 「先日から申し上げようと思っていたのですが、
     絶対的に『住宅』が不足しているかと…。」
大統領 「あ、俺が建てなきゃダメなの?」
秘書官 「我が国は一応『共産主義』を謳っておりますので。」
大統領 「なるほど。」
秘書官 「これは次回の選挙は危ないですな。」
大統領 「んじゃ、次回の選挙は無し。」
秘書官 「……………。 良いお考えです。」
大統領 「いちおー、急場しのぎにバラックでも建てておくか。」

 クーデター発生

〜 脱出用ボートの上にて
秘書官 「お逃げになる時も、鞄に全財産と洗面用具を詰め込むとは、
     さすがプレシデンテ。」
大統領 「はっはっはっ。 そう誉めるな。」
秘書官 「皮肉です。」
大統領 「知ってる。」
秘書官 「……………。」
大統領 「ま、次の島では上手くやるから。」
秘書官 「(まだやる気かよ、この男…)」


◆ 「プレシデンテ・ふたたび」

秘書官 「と、ゆーわけで、またもや貴方がこの島のプレシデンテです。」
大統領 「『またもや』というところが引っ掛かるが、その通りである。」
秘書官 「では、何から始めましょう?」
大統領 「サトウキビ。 サトウキビ、じゃんじゃん植えて。」
秘書官 「……………。」
大統領 「はっはっはっ。 もーちろん、前回の失敗は覚えておる。
     まずは、アパートと一軒家を建てて住環境の整備だ。」

秘書官 「多少の不満を抱えておりますが、国民は総じて満足しております。」
大統領 「多少の不満って何よ?」
秘書官 「家から仕事場までが、えらく遠いとか。」
大統領 「どれどれ、街頭インタビューしてみるか。 『不満ですか〜?』」
建設員 『(ぜー ぜー ぜー) 俺っちの仕事場は (ぜー ぜー) 山越えた向こうだ (ぜー ぜー) 行くまでに疲れっちまう。』

秘書官 「……だ、そうです。」
大統領 「(愚民共め、高給取りがわざわざ安アパートに住むからだろが)」
秘書官 「今、何かすごく高慢なことを考えていませんでしたか?」
大統領 「君のその洞察力は、読心力にまで高まっているようだな。」
秘書官 「恐れ入ります。」
大統領 「とりあえず、そこんトコロは我慢してもらって工業化いってみよう。」
秘書官 「アイ・サー。」

大統領 「ラム酒工場を造ったわけだが………。」
秘書官 「利益が『まったく』でませんね。 ゼロです。 無しです。
     さらに維持費が国庫を圧迫しております。」
大統領 「ま、1年も経てば利益は上がる。」
秘書官 「その言葉、昨年も一昨年もその前の年も、
     はては五年も前から聞いておりますが。」
大統領 「シビアな奴だねー。」
秘書官 「……………プレシデンテ、どこか遠くへ、ご旅行に行かれては?」
大統領 「あ、それナイス・アイディア。 観光地作って一儲けすっか。」

秘書官 「何だか信じられませんが黒字に転向しました。」
大統領 「私を信じろと言っただろう。」
秘書官 「(酔っ払いの思いつきが、偶然あたっただけでしょ……)」
大統領 「秘書官、今何かものすごく不遜な事を考えていなかったか?」
秘書官 「プレシデンテの読心力こそ強力になりましたかと。」
大統領 「いかにも。」
秘書官 「しかしこれでしばらくは、我が国の財政は安心………あッ!」
大統領 「どうした。 我が国にゴジラでも上陸したか。」
秘書官 「いえ、それよりも一大事。
     何と! ラム酒工場が莫大な利益を生み始めました。」
大統領 「炭坑に送るよ、お前。」

秘書官 「ところでプレシデンテ、運搬会社は追加しましたか?」
大統領 「全然。」
秘書官 「………各地で在庫が山のように溢れかえっておりますが……。」
大統領 「あ、なーるほど。 だから工場も鉱山も収益が出なかったのね。」
秘書官 「このままでは『もったいないオバケ』が出ますぞ!」
大統領 「…お前、なに人?」

秘書官 「すばらしい!
     選挙も圧勝し続け、50年間の統治に成功いたしました!!」
大統領 「………あ。」
秘書官 「どうなさいました? 素晴らしきプレシデンテ。」
大統領 「電気引くの忘れてた。」


◆ 「プレシデンテ・第三の選択」

秘書官 「プレシデ〜ンテ、言葉も日本語になって再出発でございます。」
大統領 「うむ、カリブの島で英語ってのも違和感あったがな。」
秘書官 「それを言ったらハリウッドもお終いでございますが。」
大統領 「なるほど。」
秘書官 「報告書でございます。」
大統領 「うむ。 ……あ、奴ってこんなこと言ってたの。 無視してたわ。」
秘書官 「では、あのOKのサインは、もしや……。」
大統領 「ぜんぶ適当に。」
秘書官 「…………………。」
大統領 「あまり悩むとハゲるぞ。」

秘書官 「気を取り直して。 如何致しましょう?」
大統領 「サトウキビ。 サトウキビじゃんじゃん植えて。」
秘書官 「前回と同じような気もいたしますが。」
大統領 「『だまって俺についてこい』」
秘書官 「ハナ肇とクレイジーキャッツですか。 あ、歌わなくて結構。」
大統領 「(ちっ)」

秘書官 「サトウキビ畑の人手がたりません。」
大統領 「まーそりゃー働かなくても食っていける島だからなー。」
秘書官 「それを言われては…。」
大統領 「んじゃ、賃金上げて、同時に金を使うパブを建設すっか。」
秘書官 「馬車馬とニンジンですか。 資本主義の見本です。」
大統領 「俺も飲みたいし。」
秘書官 「………では、やはりラム酒工場も?」
大統領 「建てる。」
秘書官 「それを、ワンパターンとも言いますな。」
大統領 「上手く行った政策を崩す必要はない。」
秘書官 「上手く行った記憶はございません。」
大統領 「あ、それから前回の徹は踏まないように運搬会社も追加ね。」
秘書官 「アイ・サー。」

大統領 「見ろ。 国民の幸せに満ちた顔を。」
秘書官 「建設労働者が大学教授の賃金と同じというのは気になりますが。」
大統領 「いやー、肉体労働は大事だぞ。 (うんうん)」
秘書官 「街中心部の家賃も破格の安さですな。」
大統領 「住環境も大事だぞ。 (うんうん)」
秘書官 「それが、国庫を圧迫しております。」
大統領 「然り……… ? でも、ラム酒工場建てただろう。」
秘書官 「『またもや』儲けがでておりません。」
大統領 「それじゃ、『またもや』観光事業行ってみようか。」

秘書官 「豪快な赤字ですな。」
大統領 「国庫がマイナスというのも初めての体験ではある。」
秘書官 「中央銀行が貸し付けを制限いたしましたぞ……。」
大統領 「ちょっとマズいな。」
秘書官 「かなりマズいです。」
大統領 「んじゃ、賃下げ&家賃上げ。」
秘書官 「もうすぐ選挙です。 怒りを買わねば良いのですが…。」
大統領 「あ、それから、対立候補に監視付けといて。」
秘書官 「なかなか、独裁国家らしくなってまいりましたな。」

大統領 「とか何とか言いつつ選挙にはあっさり勝ったが。」
秘書官 「共産主義者の圧倒的支持が得られておりますので。」
大統領 「何かイヤだな。」
秘書官 「と、言いますと?」
大統領 「どーせなら、大勢の綺麗なマドモアゼルに支持されたい。」
秘書官 「……プレシデンテ、飲みながらの政務はお控えになった方が…。」
大統領 「ダメか、やっぱり。」

秘書官 「プレシデンテ、あいかわらず赤字スレスレでございます。」
大統領 「あー、原因わかったから。」
秘書官 「は?」
大統領 「船が混雑しちゃって、なかなか出航できないでやんの。」
秘書官 「湾内でぶつかりあってますな。」
大統領 「観光用ヨットも兼用してるからなー。 観光客もホテルにカンヅメ。
      はーっはっはっ。」
秘書官 「……………。」
大統領 「桟橋の追加、超特急。」

秘書官 「港湾が整理され、資金も潤沢になりました。」
大統領 「うむ。 では電気でも引くか。」
秘書官 「おお、中心部に病院も建てられます。」
大統領 「うんにゃ。 それで豪勢なカジノを建てる。」
秘書官 「………………。」
大統領 「あ、もちろん、観光客用ね。 観光客。」

秘書官 「カジノは建設いたしましたが、儲かりませんな。」
大統領 「んじゃ、金持ち用ホテルも建設。 観光の目玉は謎の古代遺跡!」
秘書官 「なるほど。」
大統領 「それよりもナンだ。 孤児や老人用に作った家賃ゼロのアパート、
      高給取りが占拠しているよーだが。」
秘書官 「立地条件がよろしいですからね。」
大統領 「全員、追い出せ。」

秘書官 「(ぜー ぜー ぜー)
   一世帯づつ収入を調査して追い出すのは大変でございます。」
大統領 「家賃500%アップ。」
秘書官 「(こいつ人間じゃねぇ…)」
大統領 「デーモン一族でも見るよーな目つきをするな。
      どーせ金に困っている者は入居しておらぬし、収入も上がる。」
秘書官 「アイ・サー」

大統領 「ふむ。」
秘書官 「おお、お珍しい。 プレシデンテが帳簿をご覧になるとは。」
大統領 「お前、金鉱掘りになるか?」
秘書官 「秘書より楽かも知れませんな。」
大統領 「冗談だ。」
秘書官 「私は冗談で申したのではございません。」
大統領 「いや、それより赤字の根本的な原因が判った。」
秘書官 「安易な賃上げが国庫を圧迫したせいでは?」
大統領 「日照りで何年もサトウキビが大不作だった。」
秘書官 「…………… 今、 それに、 お気付きで?」
大統領 「うむ。」

秘書官 「我が国は、観光を中心として豊かになりましたぞ!」
大統領 「ラム酒は?」
秘書官 「それなりに。」
大統領 「あそ。」
秘書官 「今回は少々資金繰りに苦労しましたが、50年の統治に成功です。」
大統領 「先日、帳簿を見て気付いたんだが。」
秘書官 「はい?」
大統領 「スイス銀行隠し口座への資金、止めるの忘れてたんだな、これが。」


◆ 「プレシデンテの肖像」

大統領 「秘書官〜。 何を見ている?」
秘書官 「は、失礼ながら、プレシデンテのご経歴を。」
大統領 「あー、あれ。 立候補するときデタラメ並べたヤツね。」
秘書官 「『左翼の作家としてデビューし、共産主義者と知識人から支持を得て大統領選挙に立候補。「銭はお国の血液よん」との資本主義スローガンを掲げて大統領に選出される。 勤勉で清廉潔白な人柄で国民の支持を得るも、アル中とギャンブル狂いのおかげで国家の経済力は著しく低下………』」
大統領 「あー、待て待て待て。」
秘書官 「デタラメにしては、一部やけに真実味がございますが。」
大統領 「そりゃーそーだろー、俺、勤勉で清廉潔白だから。」
秘書官 「プレシデンテが地獄へ堕ちたら閻魔様に舌を引き抜かれますな。」
大統領 「やっぱりシビアな奴だね、お前。」
秘書官 「しかしプレシデンテが左翼の作家とは意外でした。」
大統領 「うむ、私は、圧制を敷く強大な帝国を倒す奴隷階級……」
秘書官 「ふむふむ」
大統領 「…と、貴族の間で繰り広げられる倒錯官能小説を書いただけだが。」
秘書官 「…………………。」





■ 音楽

 「トロピコ」の音楽は何とも陽気なラテン系で、ゲームにピッタリです。
 時折、口ずさむほど好きになって、いつでも聴きたくなった方には、サントラ CD をオススメします。
 (購入するには個人輸入しかないのが残念ですが)

 ◆ LMS Record 「 Tropico : The Music. 」 (直販のみ)

 このページにはサンプル曲( Demo )と歌詞( Lyrics )もあるので、一度ご覧下さい。





■ おわりに

 この「 Tropico 」は南の島を発展させる、いわゆる「 SIM キューバ 」!
 何ともいえぬノンビリした中にブラックな雰囲気と打算があって、一度プレイしたらハマってしまいました。

 しかし何といいましょうか、「何処が面白いか」ということが上手く説明できず、他の方にこの面白さを伝えにくいのが残念なところです。
 (私も体験版をプレイするまでは、今一つ面白さが解りませんでした…)
◆ 体験版(英語)はこちら →
 現在、「トロピコ/日本語版」はメディアクエストさんから廉価版が発売されています。
 (※ 追記:拡張セット「パラダイス・アイランド」とセットになった「トロピコ・プラス 〜パラダイス・アイランド〜」も販売されています。)

 一つ書き忘れていましたが、大統領に報告をする秘書官役の声は、声優の江原正士さんが吹き替えをしているのですが、これがピッタリとハマっておりまして、ゲームの可笑しさを増幅しております。

 ウチのマシンの HD には、今でも「 Tropico 」が鎮座しています。
 そしてふと思い付いたときにサクッとプレイ。
 「 Tropico 」は、ミクロ(住民)からマクロ(国家)を表現した、お手軽な箱庭風の国家運営ゲームだと思うのです。

 このゲームにハマった翌日からプレイヤーは、小国のちょっとしたニュースにも耳を傾けてしまうことになるでしょう。

( 2004/ 3/21 )



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