平成12年の花粉飛散予測(2000.1.23 関東耳鼻咽喉科アレルギー懇話会)

(1月24日) 関東のスギ・ヒノキ花粉飛散は、早く開始し、数が多く、終了が遅れるというトリプルパンチを受けそうです。1月23日に第36回関東耳鼻咽喉科アレルギー懇話会が開かれ、今年の花粉飛散予測が報告されました。演者の方々のご厚意でその内容を紹介します。いずれの報告からしても、花粉症に対する予防や治療を早期に始めることが勧められ、抗アレルギー薬の内服の開始も1月中には始めたいと思います。

1.松戸市立病院耳鼻咽喉科の片桐仁一先生は、陣馬山と高尾山のスギ林の雄花の観察から,平成元年からの11年間で、着花が2番目と多く、お茶の水では平年の1.6倍で3000-3400個/cm2の花粉飛散があると予測しました。

2.東邦大学薬学部の佐橋紀男先生は、千葉県船橋市における予測を、昨年夏の気温からの推測で2763個/cm2、昨年の日射量からの推測で3058個/cm2、スギの木の雄花の着花数(昨年11月の450本の観察)からの推測で3575個と報告しました。また飛散開始日2月4日と、例年より早まると予測しました。さらに今年はヒノキの雄花の着花が多く、3月上旬のスギ花粉の飛散ピークだけでなく、3月下旬から4月上旬にスギ花粉+ヒノキ花粉の飛散ピークが起こる可能性も示唆されました。千葉県館山市、富里氏、船橋市では平成12年1月2日よりスギ花粉が初観測(0.1個/cm2/日以上)され、神奈川県足柄市では平成12年1月19日に、すでにスギ花粉飛散開始日(1個/cm2/日以上が2日連続)となっているとのことです。

3.日本気象協会の村山貢司先生は、昨年夏の気温、雨量、日照時間から、関東で平年の1.5倍から3倍、昨年との比較で5−8倍のスギ・ヒノキ花粉飛散を予測しました。都心では4500-5500個/cm2、船橋で2800-3500個/cm2、横浜で3200-3800個/cm2、相模原で10,000個前後、水戸で6700-8300個/cm2、宇都宮で5600-6300個/cm2、前橋で5700-6300個/cm2、坂戸で8000-11,500個/cm2、八王子・青梅で7000-8000個/cm2、奥多摩で1万数千個/cm2とのことです。花粉の飛散開始は関東南部で2月上旬、北部で2月中旬と例年より7−10日早くなりそうです。植林されたヒノキも30年を越えるものが増え、ヒノキ花粉飛散が増え、これを含めるとスギ・ヒノキ花粉終了が遅くなると予測されました。花粉飛散予測からして、初診患者は40-50%増加し、飛散期間が長いことから再診患者数も多くなりそうです。


慈恵医大耳鼻科の花粉観測結果

慈恵医大耳鼻科ではこれまで品川で花粉観測をしてきました。
深夜0時に毎日スライドグラスを交換し、落下花粉数をカウントしています。

昭和62年から平成11年までの結果を示すと共に、平成12年度の予測を加えます。(2000.2.8)
スギ花粉3200個/cm2/シーズン、ヒノキ花粉800個/cm2/シーズンです。

予測については20%の増減で適中、30%の増減は許容範囲とお考えください。
スギ花粉は2240個ー4160個/cm2/シーズン、ヒノキ花粉は560個ー1040個/cm2/シーズンを許容範囲としてください。

(このグラフの著作権は慈恵医大耳鼻科アレルギー班が所有しています。 営利使用はお控えください)