一読者からの手紙 (2000.4.10)

 ところで、お話したい事というのは、大した事ではないのですが、 今年から、花粉症の分析表を作って毎日記録しているということです。 不出来で恥ずかしいですが、宜しければご覧になってください。

 とにかく毎日記録する事を一番の目標にしたので簡単な情報だけです。 最高気温は予報の値のみです(情報が入手しやすいので)。 グラフの方は飛散数、気温、症状の3点に絞ってあります。 スギ(赤)・ヒノキ(青)の棒グラフが花粉飛散数、 予想最高気温が一番上の折れ線グラフ、下2本の折れ線は症状の重さです。 飛散数に枠を付けているのが雨の日です。 ここではヒノキの正確な飛散数を知るのはちょっと難しいので、 おおよその値です。 これを観ると本当に雨の翌日に大量飛散する事、 大量飛散当日の症状より、翌日か翌々日の症状が重い事がわかりました。 あと、花粉飛散予報はあまり当てにならないのだということも気づきました。

 もうひとつ、お話したいことがあります。 今年、周囲の人たちからなぜそんなに軽いのか、と良く尋ねられました。 その度、耳鼻科に通うことと生活全般で注意が必要だと答えています。 しかし、耳鼻科でもらう薬は眠くなるからイヤ、という意見をいつも聞きました。 大体、以前花粉症で耳鼻科にかかったことのある人達がそのように言います。 眠くならない薬のことを説明しても、私も相手も素人なのでなかなか 理解してくれません。 特に、ここでは公私共に車の運転が不可欠であり、仕事に支障が 出るため、通院を敬遠しているのです。 耳鼻科で”早めの治療を”といったポスターがあったりしますが、 飛散開始2週間前とは思ってなく、どの程度早めなのかが 浸透していない感じです。 テレビ等の特集でも早めが一番のようなことを聞きますが、 レーザー治療のような即効性のある治療法に関心がいってしまうようです。

 ヒノキはスギより症状が軽いのでちょっと油断したら、案の定 目がかゆくなってしまいました。 さすがに2ヶ月以上も戦い続けると、治療にも息切れしてきています。 もう少し、頑張ります。


 一読者のメールの解析と、花粉症対策の基本的考え方 2001.1.9

1.付け加えることもないほど、問題点がわかりやすく説明されていると思いますが、あえて解析してみます。
2.まずこの患者は指導なしに自己症状を客観的に数値化し,花粉飛散,雨,気温などと比較しています。
   (アレルギー日記というものが長年、治療評価に使われていますので,いずれご紹介します)
3.そこでいくつかの問題点を自分で発見し,症状の起こりやすさと注意点を自ら把握しています。
4.重症の症状が飛散数減少と共に低下しないこと,花粉予報の的中率が低いこと,花粉回避を含めたセルフケアが必要なことの理解が得られています。
5.次に自分の受けている治療について,世間での一般的な見方と違い、内服薬に眠気の副作用が少ないことを示しています。
6.更にヒノキ花粉飛散で増悪することを感じ,自分の不注意によるものと感じています。
7.長期間続く花粉症対策に疲れてはいますが,もう少しで花粉飛散が終了する情報を得ているので,もう少し頑張ろうという気になっています。

8.このように花粉症は生活習慣病と同様に,自己評価や自己管理が重要な疾患と考えらます。
9.さらに生活習慣病に対しては「良い習慣を広めるためには熱心な素人が一番(日野原重明氏)」ということで,この患者さんの意見を一般に示させていただきました。これは花粉症に対する認識,セルフケアの重要性,薬剤の使用などについて理解を深めることとなると思われます。
10. ある程度症状の重い患者さんは、花粉回避などのセルフケアと、薬使用などのメディカルケアを、継続することが望ましいと思われます。継続することが難しいのはよくわかりますが(表1、2)、必要で客観的な情報(Evidence based medicine)を基に、ご理解いただけるように務めたいと思います。


 (表1)患者さんが、花粉回避を続けられない理由

  1.必要とは思うが、続けるのが面倒である
  2.試したことがあるが、効果が認められなかった
  3.本当に必要かどうか、わからない
  4.行いたいが、何が適切な方法か判らない
  5.マスクやメガネは見た目が悪い
  6.特別な薬や手術で簡単にすませたい

 (表2)患者さんが、薬の継続使用を続けられない理由

  1.服み忘れた
  2.効果がはっきりしないので、中断した
  3.効果があり、やめても大丈夫と思った
  4.効果がありすぎて、副作用が心配になった
  5.他の民間療法などに色々手を出した
  6.特別な薬や手術で簡単にすませたい