手術不可能な患者が食生活とメンタルケアで劇的回復
抜け毛や吐き気・・・
抗がん剤や放射線治療による副作用も大幅に軽減
がん治療の3本柱といえば、手術と抗がん剤と放射線。しかし、手術ができないケースもあるし、残り2つの療法も頭髪が抜けたり、吐き気がしたり、内臓疾患になったり副作用が激しい。そんななかで札幌市の平田章二医師は、抗がん剤を通常の10分の1に抑え、それに免疫強化剤を組み合わせた独自の「免疫化学療法」で目覚ましい成果をあげている。
平田医師のクリニックでは、常識では考えられないような症例が少なくない。
盛岡からやってきたKさん(64)もその1人。地元の医大で「手術は不可能。あと1年の命」と宣告され、1年前に初来院したときには、舌がんが広がって言葉も話せない状態だった。同クリニックでの診察で、さらに頸部(けいぶ=首)にも転移が認められ、平田医師も「治る可能性は低いが、延命を」と考えて、「免疫化学療法」を行った。
この療法は、患者に対して食生活の指導とメンタルケアを行いながら、抗ガン剤を通常の10分の1に減らし、その代わりに体の免疫力をあげるための処方をするというもの。
具体的には、医療保険が効く免疫強化剤「OK-432」を患部に注射し、並行してクマ笹の成分を抽出した健康食品を患者に飲んでもらう。 さてその結果、Kさんの舌がんはどんどん小さくなり、局部麻酔だけで切除できるまでになった。その劇的な回復ぶりに平田医師も驚いたという。
その後頸部への転移もあって予断は許さない状態で盛岡に帰ったKさんからしばらく連絡はなかった。ところが、1カ月前、ひょっこりクリニックに姿を現したKさんは舌がんの再発もなく、頸部の転移も消えていた。
こうしたケースがある一方で、同じ末期の舌がんでも、平田さんの治療で回復して社会復帰したにもかかわらず、5年前に受けた放射線治療のために「放射線誘発ガン」が発症し、治療が難航している人もいる。 このように、がん治療が新たながんを生むケースもある現実のなかで、免疫療法はこれまで「抗がん剤も放射線も効かないから免疫療法でも・・」という”付け足し”的な療法と見なされ、効果も疑問視されてきた。
しかし、平田医師は「抗がん剤や放射線は患者の免疫機能にかえって致命的なダメージを与えてしまう。最初から免疫力を重視した療法なら、効果が出る可能性は高いはず」と力説している。
[免疫化学療法]
体のなかの細菌やウイルスやがん細胞などを排除する機能を「免疫」といい、白血球と呼ばれる細胞群がその働きを中心的に担っている。そのなかで、がん細胞を直接攻撃する「キラー細胞」を活性化(働きを活発に)させる療法が免疫化学療法だ。平田さんが使っている免疫強化剤「OK-432」は、キラー細胞のうちの「キラーT細胞」を増加させることが病理学検査で確認されており、もう1つのクマ笹の健康食品に含まれているアラビノキシランという成分も「ナチュラル・キラー(NK)細胞」を活性化させるという研究が報告されている。 |
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