各話解題

 ●第1クール

#01 『まじょのくすりやさん』
98/02/14 演出・貝澤幸男  作画監督・伊藤郁子

原作からどうアニメーション版を作るか、設定などまだ煮詰まっていない段階で、「まずは書いてみよう」と、サンプルとして書いたシナリオが、ほぼ大筋はそのままこの第一話になっています。とは言っても決して楽に出来た訳ではなかったですけれど。
ぽぷりがふきこさんに魔法を教えて貰いたいと言いに行った時、あそこまで泣くとは私も思っていませんでした。貝澤演出の凄さをまざまざと見せられた第一話でした。
ヒロインの名前は随分とみんなで悩んだのですが、伊藤郁子さんの案の中から“ぽぷり”を選びました。

#02 『まほうのこびん』
98/02/21 演出・五十嵐卓哉 作画監督・爲我井克美

この作品の玩具展開は、まず最初に“たまごっち”ライクなものを出す事が既に決まっていました。それをただアイテムにするのではなく、ぽぷりが使う魔法そのものの具象にしてしまったのです。
精霊(人工精霊=エレメンタル)の種類や名前もこちらに任せて貰えたので、17世紀の私家本に登場する妖精たちの名前をアレンジしてつけています。
このエピソードで印象深いのは、公園でぽぷりが初めて魔法を使うシーン。その音楽の素晴らしさでした。
五十嵐+爲我井コンビは、『キューティーハニーF』の“暴走列車”篇という傑作を事前に見ていたので、このエピソードの出来はとても楽しみでした。完成作は予想以上に素晴らしいものでしたが。
ぽぷり役の小西寛子さんも、早くもこの2話目で、ぽぷりそのものになりきってくれて大変嬉しかったです。

#03 『はちみつどろぼう』
98/02/28 演出・小坂春女 作画監督・上野ケン

このエピソードは、原作にあるお話をかなり忠実に脚色しています。原作ではニボシが“はちみつどろぼう”を発見するのですが。
原作は8頁ほどの読み切りの絵本です。このエピソードを選んだのは、やはり“ くま ”が登場するからです。
「地球に落ちてきた」「くまぁ?」という台詞は、ですから私が付け足したものでした。

#04 『ぽぷりのさかなやさん』
98/03/07 演出・貝澤幸男  作画監督・伊藤郁子

この作品の魔法はどう描かれるべきか――。この辺りから私の苦悩が始まります。アニメーションにおいて魔法は「あって当たり前」なものです。それを一旦日常のレヴェルに戻し、これまでに描かれなかった様な魔法を、ワクワクする様に描きたい。これが私のこのシリーズに対するチャレンジだと認識しました。

#05 『ふきこさんのおかいもの』
98/03/14 演出・五十嵐卓哉 作画監督・爲我井克美

にこにこ銀座がどう楽しい商店街か、それをどうドラマとして伝えたらいいのか――、悩んで悩んで、「そうだ、ミュージカルにしよう!」と思いつきました。まだ音楽の制作が始まる前だったので、ラッキーな事に小坂明子さんに BGM と一緒に、このエピソードで使用する『にこにこ銀座でお買い物』を作曲して戴けたのでした。
シナリオではラフに歌詞の断片だけを私が書き、実際の歌詞は五十嵐氏が書いています。
早くも爲我井氏独特なぽぷりキャラが確立して、テレビシリーズの醍醐味を感じました。

#06 『ゆきだるまがふってきた』
98/03/21 演出・今沢哲男 作画監督・上野ケン

大ベテランの演出家、今沢さんの初担当回です。これまでには無かった、映画的なテンポ感がとても心地よかった作品です。
オンエアされる時期の季節感は気を使っていますので、冬らしいエピソードという事で考えたものでした。
上野ぽぷりもこの回で確立してきました。

#07 『まほうはすてき』
98/03/28 演出・小坂春女 作画監督・進藤満尾

この作品における魔法、ふきこさんの魔法とはいったいどんなものなのか。企画を練っている段階で、貝澤さんと随分話し合いをして、今までにないものが出来る、という確信が得られた時、このエピソードを早い段階でやりたいと思っていました。ですから一話目の次くらいには、もうプロットは頭の中で出来ていた作品です。
シナリオでは「ぽぷりの頬を、髪を、風がやさしくなでて……」と抽象的に書いていたのを、小坂春女さんはたんぽぽの種を美しく舞い飛ばすことで表現してくれました。

#08 『にこにこぎんざのおはなみ』
98/04/11 演出・五十嵐卓哉 作画監督・梅原隆弘

原作にあるエピソードを脚色したものです。このエピソードに登場する春の精霊は、二話の冒頭に、月のシルエットで既に登場させていました。ファンファンの各話のみに登場するゲスト・キャラクターは、各話の作画監督がデザインするのですが、この精霊は伊藤郁子さんがデザインされています。そして、二話から三石琴乃さんが声を担当されていました。
時計が毀れてしまったのに、目覚まし草を探している――という春の精霊の行動はやや未整理な感じがしますが、原作のこのテイストはライターにはなかなか出てこないユニークな発想だと思ったのでした。

#09 『パンのまほう』
98/04/18 演出・貝澤幸男  作画監督・伊藤郁子

この作品から資料集めや取材を回に応じてやっています。パンの作り方も一応勉強しました。段々ファンファンのシナリオを書く楽しさを感じ始めた頃でもあります(苦しさは未だずーっと変わりません)。
貝澤さんは自らMacintoshを操り 3D CG を創りだしてしまう方なんですが(みいファぷーオープニングの 3D も全部貝澤さんがやっています)、この作品では電車から膨らむパンからイースト菌ちゃんなどなど、膨大な量のカットを手がけられています。
ここまでが 1997 年に執筆した分です。『魔法使いTai!』の小説を書く為に、年明けから一月半ばまで、ファンファンはお休みしました。

#10 『くしゃみのひみつ』
98/04/25 演出・今沢哲男 作画監督・進藤満尾

“ニッケ”という妖精の名前は、数年前のあるリメイク怪獣映画の為に書きながら、最終コンペで落ちたプロットに登場させていた、蝶の羽根を持つ少女につけていたものです。 NIKE という翼を持った女神が勿論モチーフなんですけれど。今回のニッケは、こまっしゃくれた芋虫です。デザインもそうですが、今沢さんの演出による動かし方や三石さんの声で実に愛らしいキャラクターになっていて、個人的にとっても嬉しかったのでした。
お話的には「記憶喪失の芋虫」というモチーフがまず思いつき、そこから作っていったものです。
それと今回は、シブの“ネッシー形態”が初登場というところもポイントでした。

#11 『おさんぽニボシ』
98/05/02  演出・小坂春女 作画監督・爲我井克美

これも原作にあるエピソードの脚色です。原題は『きんたのごがつびょう』。タイトルがネタバラシしているので、このエピソードだけはサブタイを変えました。ファンファンのサブタイは、原作のそれを基調に、毎回頭を悩ませつつつけているのです。
このニボシとふきこさんのかなり不思議な関係は、原作のそれに沿って、やや強調して描いています。これは私がこの原作に惹かれた理由の一つでした。
にこにこ銀座の周囲はどんな町並みなのか。これも最初期に考えていた事で、旧家が並ぶ日本的なイメージを抱いていました。ぽぷりがニボシを追って迷い込むくだりは、まさにイメージ通りに絵づくりして戴き、感謝しています。

#12 『カメラのきもち』
98/05/09 演出・貝澤幸男  作画監督・上野ケン

この辺りの話数は、制作スケジュールの都合から、一週間に三本も書いていた時期の作品です。
苦しかったのは当然ですが、その反面、私の本来の嗜好が強く出たものを書いてしまった様です。怪奇・幻想のテイストが入ったこのエピソードは、これまでのファンファンとは明らかにムードが違います。油断するとついこういうのを書いてしまうんです。
けれど、貝澤さんはこのシナリオを凄く気に入ってくれました。
子ども達に楽しんでもらえるかどうか、ちょっと心配ですが、でも、心のどこかに引っかかってくれたらな、という気持ちです。

#13 『くろいたねのまほう』
98/05/23  演出・今沢哲男 作画監督・杉本道明

ガルは、言わばバルンガなんですけれど、決して悪い奴ではないのです。ただ、扱いが難しい魔法をぽぷりは呼び出してしまったのでした。
ぽぷりがカッコよく見える話、という発想で生まれた話だったと思います。
精霊の“声”、シリーズ開始前は、声優さんのアドリブかなと思っていたんですが、ピンチィを出した時に、シナリオに「しゅか しゅか」と書いたもので、以降一応基本形は私が考える事になってしまいました。

 

▼精霊たちの声の由来

  • ピンチィ 「しゅか,しゅー,しゅ」 伊藤さんのデザインを見て、もうこれは「しゅかしゅか」だと。声は天神有海さんです。
  • シブ 「ぷく,ぷくぷく」 =これはまんまですね……。永野愛さんです。
  • グリム 「かぷかぷ,かぷち」 =これはイタリアの僧侶(の帽子)の意でもあるカプチーノから。気難しい感じを出したいのと、私がカプチーノ好きという……。『みいこ』のパパや“たばこ屋”の田実さん。
  • リック 「にっか,にっかにー」 =これも“明るい子”という見た目からですが、あと、カニにも似ているという……。三石琴乃さんです。
  • ラルゥ ――“ファンファンの "Fifth Element (al) " ”は、ハート/コミュニケーションの魔法。だもので、この子には声がありません。


  • ガル 「ぴーがりがりがり,がるるるる」 =電気の魔法なので、FAXやモデムの通信音をイメージしたのが前半分。後ろ半分はぽぷりが名前をつけてから変わったという点に御注意。これも三石さんです。

 


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