各話解題

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 ●第3クール

#27 『まじょのアマネ』
98/08/22 演出・五十嵐卓哉  作画監督・伊藤郁子

原作に登場するアマネちゃんは、是非ともアニメに登場させたいと思っていたキャラクターでした。3シーズン目に入ったら出そうと、前々から考えていて、満を持しての登場です。
書き上げた時は原作のキャラクター通りに書いたつもりだったんですが、読み返してみると随分キツい性格にシフトしていました。プロデューサー達や五十嵐氏、伊藤さんも面白がってくれたので、アニメのアマネちゃんはこういうキャラなんだと突っ切る事にしました。
しかし衣装は、原作の荒木さんのものにかなり忠実にデザインされています。
アマネちゃんはスタッフ、そして声を演じて戴いた三石さんと、みんなに愛されつつ生まれたキャラクターでした。
五十嵐氏は、いつもラスト・シーンに拘りを持っていて、私が書いた初稿を許に打ち合わせをする時、既に自分なりのイメージを作ってきてくれます。今回も空での別れは、それまでの動的なテンポ感からふっと抜けて、とてもいい感じに締めてくれていました。

#28 『くちべにつけた』
98/08/29 演出・小坂春女  作画監督・進藤満男 (進藤プロ)

小坂春女さんは、例えばファーマシィーの裏のテラスのシーンを書くと、ふきこさんが育てているハーブについての台詞を足してくれたり、熱帯魚を出すと、やはりディテイルを細やかに描いて戴いたりと、女性らしい観点の演出をして下さっています。そんな経緯を踏まえて、“お化粧”という、まさに女性ならではなモチーフのエピソードを書いてみたのが今回のお話でした。
口紅をつける描写などに期待していたのですが、むしろ小坂さんの演出のポイントは、ぽぷりとぽぷりのママのシーンに置かれていた様です。魔法のお陰で娘と判らない。でもぽぷりという娘を愛してるのだなぁととても実感出来る素晴らしいシーンにしてくれました。
小坂さんの回には比較的ピンチィが多く登場するのですが(これは偶然なんですけど)、今回も風鈴の風にはしゃいでくるくる愉しげに飛ぶピンチィが可愛かったです。

#29 『ちていたんけん』
98/09/05 演出・貝澤幸男  作画監督・爲我井克美

ファンファンで30分特集をやる、というのが決まってから、そのシナリオを書くまでにあまり時間がありませんでした。
『さびしいつちクジラ』(#25)の続編的なエピソードを、貝澤監督はずっと暖めていて、それは当初レギュラーの十分でやるつもりだったのですが、三十分スペシャルが決まったとき、即座にこの“つちネコ”篇をフレーム・アップする事になりました。
それほど、この“つちネコ”は魅力的なキャラクターだったのです。
私は地下を巡るという設定が好きで、これまでも多くの作品で地底を 舞台にしてきましたが、やはりファンファンでも一度はちゃんと地下物をやりたいと思っていました。
“つちネコ”の行動目的や動作などは全て貝澤監督が考え出したものです( Making 参照)。
シナリオ化に当たっては、ぽぷりが地下に探検に行く、という準備のシーンや、地底池といった舞台設定を付加し、いつもとは違う世界ながらも、いつものファンファン・テイストを大事に組み立てていきました。
当初は違うサブタイトルをつけていたのですが、二稿目に『ちていたんけん』としました。これはもう、そうとしか言えない作品だからですが、ヴェルヌの、そしてそれをフォックスが映画化した『地底探検』へのオマージュとしての意図も込めています。私が地下を舞台にしたがる理由の一つが、この類い希な冒険譚にあるからです。
貝澤監督は、ぽぷりの書棚にこの『地底探検』を置いて、それを見たぽぷりが出立を決意する――というシナリオには無いシーンを描いていました。これは、私にとっては本当に嬉しい場面でした。
とにかく見ていて楽しい、ワクワクするマンガ映画になっていて、これを見た子どもが『地底探検』を読んでくれたらな、と願わないではいられません。

#30 『どきどきまほう』
98/09/12 演出・五十嵐卓哉  作画監督・上野ケン

ぽぷりは恋愛をするには未だ早い年齢です。しかし憧れは持っている筈。大人の恋愛に触れる様な話は出来ないですか? と五十嵐氏から聞かれて出来たのが、このエピソードでした。大人、というにはちょっと幼い恋になりましたけれど。
コンビニ店員・良美(という名前はこの回で初めてつけたのですが)は、三話で上野さん初作画の回に登場したキャラで、設定も上野さんが起こしていましたが、爲我井氏回で再登場した時、そしてついに主役回のこのエピソードに至るまでに、何と綺麗な女性に育った事でしょう。
最初のファンファン30分スペシャルのアイキャッチ、可愛いくも躍動的に時計の動きをするぽぷりも上野さんの作画でしたが、この回も豊かな表情、走り出す直前の見事なアクションを魅せてくれました。
五十嵐演出は、コミカルなテイストをしっかり保持しつつ、良美と花屋バイトの“どきどき”は実に丁寧に描写されていて、心がホッとする作品にしてくれました。
一件の後、ふきこさんがぽぷりに語っている内容は、『 くまちゃん 』のテーマ的な事でもありました。五十嵐氏があの映画を好いてくれていたのが嬉しくて、ふきこさんに言って貰ったのでした。
尚、良美と花屋の関係は前々週『くちべにつけた』で、小坂さんに「こうなりますよ」とお伝えし、その含みをして演出して戴いています。ぽぷりがあの回で口走る大人の女っぽい喋りは、それを踏まえての小坂さんのアレンジだったのでした。

#31 『ノームのおにわ』
98/09/26 演出・今沢哲男  作画監督・杉本道明 (トランスアーツ)

七話『 まほうはすてき 』のアフレコの後、ふきこさんを演じられている松島みのりさんから一冊の本を戴きました。『マツボックリが笑う日』(ダニエル・ブライヤン著/翔泳社)というその本は、オランダに住むイギリス人の航海士が、自分の家のガーデンづくりを通して感じた自然や植物についてのエッセイです。イギリスの血らしい、ちょっと偏屈な文体がまた微笑ましい、とても楽しい本でした。森の中で、自然の“魔法”を畏れるぽぷりを優しく諭してあげるふきこさん――。『まほうはすてき』というエピソードに通じるものがある、と松島さんはおっしゃっていました。この『ノームのおにわ』とは、その『マツボックリが笑う日』からインスパイアされて書いたシナリオでした。きちんと手入れされたガーデンに、一カ所だけ、自然のなすがままにしておく。それが“ノーム(妖精)のお庭”なのです。
演出の今沢さんにも『マツボックリが笑う日』を読んで戴き、そのムードを盛り込まれたテイストになっています。

#32 『うしろのしょうめん』
98/10/03 演出・小坂春女  作画監督・中田正彦 (コクピット)

ベーシックなアイデアは、演出の小坂さんから提案されたものです。そのやりとりをする間に、小坂さんは宮沢賢治をとても愛しておられる事が判り、この話に登場するコロボックル的な妖精の名前は、劇中では語られませんが“チュンセ”と“ポウセ”にしています。
“かごめかごめ”の歌を使うというのも、確か小坂さんのアイデアだったと思います。この歌は地方で色々なヴァリエーションがあり、また“籠目”、即ち六芒星をシンボルとして捉える考えがあるなど、なかなかに神秘性を秘めた童謡です。ストーリーもですから、ちょっとミステリアスな感じになりました。
ハーン的な怪談ともとられる様なエピソードでしたが、旧きものを愛おしむ、というテイストこそが小坂さんがこの挿話で伝えたいメッセージだったのだと思います。

#33 『こころのわすれもの』
98/10/10 演出・貝澤幸男  作画監督・伊藤郁子

幼い頃に出会っていた妖精の記憶――。それを思い出す為に絵を描き続けるおばあさん――。このアイデアも貝澤監督から提案されたものでした。『おさんぽニボシ』で登場した、大きな屋敷の夫人には漠然としたバックグラウンドを想定していたのですが、それは今回のエピソードとは異なるものでした。しかし、貝澤さんが想い描かれているイメエジを表現するに相応しい場所と人、という事で再登場させています。
子どもの時の記憶が、何十年も経って唐突に蘇る――という経験はどなたにもあるのではないでしょうか。それが楽しいものであれ、辛かったものであれ。
貝澤さんはラルゥの力を漠然と考えておられたのですが、異界に入る力という事でシブを選んでいます。
同じ人の、異なる年齢に出会っていく――。魔法ならではのワンダーとして構成しましたが、子どもには少し判りにくい叙述だったかもしれません。
シナリオを書き出す前、妖精がどんな姿をしているのか掴めず、貝澤さんにラフで描いて貰ったのがあの姿でした。ミコールという名前は、例によって実在の妖精から採っています。
久々に貝澤+伊藤コンビ作という事で、じっくり作り上げられた作品です。伊藤さんは、自らキャラクターの気持ちになって絵を描かれる方なので、今回のやや重いお話には大変ご苦労されたそうです。ファンファンでは初めて、一人で原画を描き通された伊藤さん、中学生の“しずえ”には『サウンド・オブ・ミュージック』の制服を着せています。伊藤さんが最も愛されている映画なのです。その制服を着られたしずえちゃんも、幸せな子どもでしたね。
“しずえ”を幼少から老婆になるまで全て演じられたのは、熊谷ニーナさん(おさんぽニボシ』で既に一度演じられています)。事前にラッシュを見るなど、大変役作りに力を入れて演じられていました。

#34 『おそばをたべたくなるまほう』
98/10/17 演出・今沢哲男  作画監督・進藤満男 (進藤プロ)

私は決して“通”などではないのですが、蕎麦が好きです(いきなり余談ですが、『みいこ』の吉沢監督は大変な蕎麦っ喰いだそうです)。一度蕎麦をモチーフにやってみたいと思っていたのですが、なかなかストーリーにまとまりませんでした。このお話は、〆切ギリギリまで必死に考えて絞りだしたエピソードです。
にこにこ銀座のアナウンス嬢、アナウンス自体は、確か5〜6話辺りの時に貝澤監督から、効果音として欲しいとオーダーされ、その時に原稿を書いています。かつて教育テレビの番組『むしむしQ』で、三石さんが絶妙なエレベーター・ガール口調を披露されていて、非常に感銘を受けていた私は、このアナウンスは是非三石さんにお願いしたいと希望をしていました。念願叶って録音されたこのアナウンス、しかし実際にはあまり活用されませんでした。
お蕎麦を食べる“音”と、このアナウンスを活かしたお話――、これが合体したのです。
現実的には、商店街のアナウンスは録音テープが用いられる筈ですが、えびす町はのどかなので、毎日お昼ドキにライヴ放送をしている、と無理矢理解釈しています。
世田壱恵さんが、“気弱な蕎麦屋”を見事に演じられてて、時間経過的にも若干無理のあるストーリーを肉体化させてくれました。
なお、アフレコの後、ダビングの後それぞれ、スタッフやキャストの方々は蕎麦を食いに行かれたそうです。参加出来なかった私は非常に口惜しかったです。

#35 『にこにこぎんざがあぶない』
98/10/31 演出・五十嵐卓哉  作画監督・爲我井克美

女の子には申し訳ないながら、今回ばかりは男の子向けジュヴナイル。
みいファぷーの製作がスタートした頃、前枠だった『キューティーハニーF』の初号試写を観る機会がありました。最終回近くの話数です。暴走列車を舞台にした大娯楽アクション篇で、実に演出がシャープ、かつリズミカルで、アクション描写、ヒロインの表情に目を奪われる大傑作でした。その演出・作監コンビがファンファンに参加してくれるというので観たのですが、そのハニーの印象がとても強く、是非一度、このコンビでアクション篇をやりたいと狙っていたのでした。
五十嵐+爲我井コンビは二話で早くも登板。こういうジャンル作品は私同様初めてな五十嵐氏は、当初随分と苦しんだ様ですが、出来は御覧戴いた通り、ファンファンのスタンダードを築く一編となっています。
ここのところ暫く、五十嵐氏の回では「どんなのやろうか」と相談しつつ話を作っていたのですが、この『にこにこぎんざがあぶない』に限っては、五十嵐氏、爲我井氏に「お願いだからこれをやって欲しい」と押しつけた格好のシナリオでした。
やりたかったのは、ぽぷりが“ヒーロー”(ヒロインではなく)となるアクション篇。勿論それは、満を持してのガル再登場篇でなくてはなりません。それにプラス、ちょっと不思議な少年との淡い出会いのジュヴナイル・テイスト。このコンビなら既に“勝った!”と思ったものです。
しかし……、実際にコンテ・インして以降はこのエピソード、完全に五十嵐氏のものになっていました。ヒトシ君、そしてぽぷりに込められた五十嵐氏の想い――。当初の私の思惑など遙かに超えたものになっていました。出会いのシーン、プリプリ怒るぽぷりの愛らしさと、怪獣ウィルバーのダイナミックなアクション、これまた私の想像を超えたものでした。ウィルバーの映像表現は、撮影の高橋基さんがアフレコラッシュまで観に来てイメエジを掴み、苦心して創り出された効果です。
伊藤さんにもこのシナリオは大変気に入って貰えて、“ヒトシ君”は伊藤さんがデザインされたのですが、爲我井氏が描くヒトシ君は、やっぱりセーラーやハニーで特徴的だなと思っていた、あの精悍さを有していました。ここは思惑通りで嬉しかったところ。ウィルバーは勿論爲我井デザイン。
蛇足ながら、ウィルバーという名前は、巨大で見えざる怪物が“山を動かす”――というイメエジに因り、『ダンウィッチの怪』から引用しています。

#36 『ジルムとジルモ』
98/11/07  演出・今沢哲男  作画監督・杉本道明 (トランスアーツ)

30分スペシャルとしては二作目にあたる本作は、テレビ朝日、小学館共催の“魔法アイデアコンテスト”、グランプリ作品“ジルムとジルモ”をフィーチャーした回。彼らの魔法の属性は全く本篇で描いた通り。デザインも、しっかり伊藤さんのカラーはありつつ、かなり応募デザインに忠実に(目と目の段差まで)描かれています。
選考には、貝澤監督、伊藤さんと共に私も参加し、確かにこのジルムとジルモがデザインといい魔法のオリジナリティといい、グランプリに相応しいと推挙しました。しかし、ライター個人としてはちょっと困りました。
と言うのも、私は“タイム・パラドクス物”が個人的に好きでは無かったからです。“タイム・スリップ物”は、結構許容出来るのですが、“パラドクス”になると論理矛盾が気になって楽しめないのです。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も、一作目は好きですが、二作目以降は駄目。『ターミネーター』は一作目からして納得いきません(だったらサラが子どもの時か、生まれてこない時期に来ればいいのに、という)。
そんな私ですから、いつも以上にこのシナリオ執筆には苦しみました。
ぽぷりの父親がこれまで登場していなかったのは、10分という時間では、ぽぷりとふきこさんの関係を第一に描くべきで、家庭的な描写をしない方がストレートに魔法を巡るストーリーが描けるだろう、という貝澤監督の考えからでした。だからぽぷりの通う学校は登場させていないのです(もう一つの理由は『こっちむいてみい子』との兼ね合いもありました)。
しかし、30分あれば……。
実は父親は、留守がちであるという以外に設定らしい設定はしていませんでした。ぽぷりの部屋、二段ベッドの二段目にはぬいぐるみがいっぱいあります。ファーマシィーにお泊まりに行った時にも、ぽぷりはうさぎのぬいぐるみを抱えていました。美術の方や各話の演出さんが描いてきたこれまでのシーンから想像して、あのぬいぐるみがどうして増えたのかが“判った”のです。それが今回のストーリーのフックとなったのでした。
“昼と夜がマーブルの様に混濁し――”という、甚だ抽象的なイメージのシーンを、今沢さんは見事スペクタキュラーたっぷりに映像化して下さいました。“のんすけ”に誰よりも愛着を感じておられる(あ、原作挿画の荒木さんは勿論除いてですが)今沢さんらしい、のんすけの登場シーンも楽しかったです。
グランプリを獲得した国崎文美ちゃん(7歳)が、楽しんでくれた事を祈って。

#37 『ねこになったぽぷり』
98/11/14  演出・小坂春女  作画監督・宮原直樹

骨董屋さん、古道具屋さんを舞台に……、という小坂さんの発案を受けて作ったお話。
ファンファンでは、魔法で何かに変身するということは意識的に避けていました。魔法少女アニメのルーティンからは離れ、魔法本来の面白さを探ろうとしていたからです。やはり小坂さんが演出された『くちべにつけた』は、その象徴的なエピソードだったと言えるでしょう(魔法で成長した姿は、ぽぷりも視聴者にも見せない)。
しかし、シリーズも後半に入り、楽しそうな事はどんどんやってみようという気になったのかもしれません。
ぽぷりの靴は、ウサギの形をモチーフに伊藤さんがデザインされているのですが、ぽぷりを動物にするならやはり猫以外には思いつきませんでした。
さてその猫になってしまう魔法。あまりに妖しい“我楽汰堂”が、「一体誰だったのだ?」というのは、初稿を上げた時にもちょっと議論になったんですが、謎めいた存在にしておきたいという私の意図を汲んで下さり、小坂さんはご自分のテイストで解釈してキャラクターを作ってくれました。ラスト近くの路地から延々と引くカット、実に神秘的でした。
香炉というアイテムは、『くれないものがたり』という数年前の映画(赤江爆原作)の使われ方が印象的で、一度扱ってみたいと以前から思っていたものです。
エピローグ的なイメージ・シーンは小坂さんと話している時に私が例に挙げたのが、萩原朔太郎の『猫町』でした。
今回から、『ドラゴンボールZ』などをやられていた宮原直樹さんが作監で参加。ぽぷりねこのデザインも素晴らしかったですね。

#38 『やおひちさんのプレゼント』
98/11/21  演出・五十嵐卓哉  作画監督・中田正彦 (コクピット)

カメラのきもち 』のアフレコの時に、ファンファンでは“やおひち”役を演じられている世田壱恵さんが随分と感激してくれてて嬉しかったのですが、その後、「やおひちではこういう話、無いですよね?」と苦笑されつつ私に聞かれました。「いえ、考えます!」とお答えしたのですが、随分遅くなってしまった約束がこのエピソードです。
シナリオではかなり地味な日常のお話でしたが、五十嵐氏の演出は弾けまくっていて、かなり躍動的な感じに仕上げてくれました。
やおひちの奥さん役は、ぽぷりママも演じられている熊谷ニーナさん。どう演じ分けられるか楽しみでしたが、知らない人がいきなりこれを見たら、恐らく同じ役者さんが演じられてるとは絶対判らないでしょう。
「夫婦喧嘩は犬も喰わない」――というのを、実際に犬を登場させるかどうかで、伊藤さんも交えて激しい議論(勿論、笑いの激しさですけれど)がありまして、最終的に五十嵐氏は「まかせて欲しい」と引き取ったのですが、のんすけの犬をあそこまでフィーチュアするとは全く驚きでした。ファンファン・シリーズでも、特異なテンポの演出感を持った作品になったと思います。
中田さんの作画も楽しく、久しぶりにファンファンのスタンダード的な挿話でした。

#39 『なにかがみちをやってくる』
98/11/28  演出・葛西 治  作画監督・伊藤郁子

今回も全原画を描かれた伊藤さんは、「ぽぷりには、不思議な友達がいっぱい出来て欲しい」という要望を、私に以前話された事があります。
今回もそんなお話。年に一度、町の人たちがおはぎ(か何か)を道に置いて、“何か”を待っている――というシチュエーションまでは伊藤さんのアイデアでした。
それを受けてストーリーは作ったのですが……、御覧の通りの結末。
いつものファンファンなら、どんな不思議な者が現れてもおかしくない。シリーズが進むと、不思議なことも当たり前になってしまう。それがつまらなくて、こういうひっくり返しをしたのでした。
“ごんまやせさん”という名も、いつもだったら実在の民話や妖精の名前などから採るところを、絶対に他には無さそうなオリジナルな名前を七転八倒して考えだしています。だから、これといった語源は無く、言葉のイメエジのみで生まれた名前でした。もし何かに似ていたら、それは偶然です。
旅のロマンを語るくだりは、貝澤監督の要望でやや長めの台詞を書きました。貝澤さんは“旅人”が大好きなのですね。
サブ・タイトルのみは、レイ・ブラッドベリィの名作から拝借しています。ファンファンではこうしたサブタイトルの遊びをよくしているのですが、観てくれている子どもたちが、今よりも大きくなった時、私達スタッフが好きだったり影響を受けた作品に触れて欲しいし、その時、ファンファンの事も思い出して欲しいという願いも込めています。
今回から演出陣に、ベテランの葛西さんが参加され、ファンファンでは初めて、ゲスト・キャストとして高戸靖広さんが“今年のごんまやせさん”を演じられています。


3シーズン目はかなりハイテンションな作品が並んでいて、振り返ってみると壮観です。私としても充実したシナリオを書けたと思っています。
そして、いよいよファンファンファーマシィーもラスト・シーズンへ突入です。

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