ふしぎ魔法 フ ァ ン フ ァ ン フ ァ ー マ シ ィ ー               その12              く ろ い た ね の ま ほ う                      第2稿                       脚本/ 小 中 千 昭 Animation Play by Chiaki J. Konaka                              98/01/31 登場人物 ぽぷり〔西野かおり〕(10) ふきこさん(年齢不詳) ニボシ〔黒い子猫〕 のんすけ(03)……………………各話必ず一回は登場。精霊や魔法が               見えている、らしい。 ぽぷりの級友達 くるみ けい なおみ 警官 八百ひち 電気の魔法 ガル 緑と地の魔法 グリム ○ファーマシィー外観 ふきこ「(オフ)ええと、どこ行っちゃったのかしら」 ○同/調合室 戸棚の中を何かを探しているふきこ。 ふきこ「あれが無いと、美味しいクッキーが作れませんわ」 ニボシ「にゃ〜」 戸棚の中を歩くニボシ。一緒に探しているつもり。 瓶類のの間を歩く内に、奥の黒い瓶を倒してしまう。 ニボシ「にゃにゃっ!」 黒い玉が下にポロポロ落ちてしまう。 ふきこ「(呆れ)あらあらニボシ。いけませんですわ」 ニボシ「(済まなそうに)にゃ……」 床に転がる黒い玉。 ○駅向こうの通学路 ぽぷり、くるみ達数人の女の子達と一緒に帰る途中。 くるみ「──隣のクラスでも有名なんだって!」 け い「ぽぷりちゃんて確かにちょっと変わってるし」 ぽぷり「(気にしてない)そうかしら」 なおみ「時々急にすっごいお喋りになるし」 くるみ「(くすくす)国語の時間でぽぷりちゃんがさされるの、 あたし楽しみなんだ。だって絶対面白い事言うんだもん」 女の子達「(笑って一斉に)そうそう!」 ぽぷり「そっかなぁ……(と見上げ──)あああっ!」 女の子達「(ギョッとして)なっ、何?」 ぽぷりの視線を辿る女の子達。 電柱の上に、針金ハンガー等が絡まった金属が不思 議な形状を成す奇妙な物体。 け い「なあに?あれ──ってああっ!」 ぽぷり、電柱を登り始めている。 くるみ「(慌てて)ぽっ、ぽっ、ぽぷりちゃんてば!」 なおみ「よしなよ! 危ないよ!」 構わずどんどん登っていくぽぷり。 ぽぷり「だってみんな、何だか知りたくないの? あんな変てこ なもの見たことないわ──ああっ」 女の子達「きゃあああ!」       足を滑らせかけたぽぷり、立ち直り ぽぷり「平気平気! さっ、あともう少し──」 男の声「こらーっ!」 ひっ、と肩を竦ませるぽぷり。 ─────────────────────── 警邏警官がぽぷりにお目玉。 警 官「こんな事しては絶対にダメだ。もし落ちたら危ないのは 当たり前。命が危ないんだよ感電なんてしちゃったら」 ぽぷり「感電……(しゅん)ごめんなさい」 ○ファーマシィー調合室 テーブル下で、黒い玉を横に倒した瓶の中に入れて いるニボシ。 ふきこ「ちゃんと全部集めまなくてはいけませんですわ。それは ちょっと危ない魔法の種なんですからね」 ニボシ「にゃあ」 調合テーブルに皿を並べるふきこ。その脇に黒い玉       が一粒……。 ふきこ「ぽぷりちゃん、きっともうすぐ来る頃ですわ」 ニボシ「にゃあ」 とん、とポットが置かれる。その拍子に、さっきの 黒い玉がコロコロと転がり、魔法の種の小匣の側に。 ○にこにこ銀座商店街 ぽぷり「すっかり怒られちゃったわ。でも、あれ一体何だったん だろう……(考え込む)」 と! 突如思いつき硬直。 ぽぷり「こういう時にこそ! 魔法を使えばいいんじゃない!」 ぽぷり、ポッケに手を入れる。 ぽぷり「──あ」 掌を開くと、種はもう四粒程。 ○ファーマシィー調合室 戸棚に黒い玉が入った瓶を仕舞うふきこ。 ふきこ「さて、そろそろですわね」 オーブンから熱いトレイを出す。 ニボシ「(美味しそう)にゃ〜〜ん」 調合テーブルにいたニボシ、近づこうとして── 魔法の種の小匣を今度は倒す。 ふきこ「あらあらまた? しょうがないですわね、ニボシ」 ニボシ「(ご、ごめんなさい)にゃ……」 色とりどりの魔法の種の中に、黒い玉が……。 ○ファーマシィー/調合室 ぽぷり「わあ……(クッキーを前に)」 ふきこ「さあ、出来立てのクッキーですわ。召し上がれ」 ニボシ「にゃあ」 ぽぷり「ゆっくり食べたいんだけどあたし急いでて──。でも、     いただきまーすっ!」 頬張るぽぷり──にっこり。 ─────────────────────── トン、とぽぷりの前に小匣が置かれる。 開くぽぷり。不思議な旋律のオルゴールの調べ。 ぽぷり「あたしこの匣って、とっても好きよ」 ふきこ「(微笑)私のお母さんから貰ったものなんですよ」 ぽぷり「へええええ」 ぽぷり、種をポケットに入れて貰う。 その中には、あの黒い玉も──。 ○線路脇の小径 人通りの少ない道。 ぽぷり、傘を脇に抱え、アルデルの小瓶の口を開き ぽぷり「こういう時は、やっぱりピンチィね。絶対出てきてよ?」   種を小瓶に入れていく。その中に黒い玉も──。 ぽぷり「マホウヨマホウヨウマレテオイデ」 ぴかっ!──ずずずずずずずずず ぽぷり「!」 黒い雲が辺りに立ち込める。 ぽぷり「な、なあにこれ……。ピンチィじゃないの?」 黒い雲、どんどん凝集し──、ボーリングの玉に目 がついた様な精霊になる(悪そうな目ではない)。 その周囲にはバチバチとパルスが時折走っている。 ぽぷり「あのー、あなたはどんな魔法、なの?」 精 霊「ぴーぴーがりがりぴーぴー」 ぽぷり「電気……みたい。そうなの? 電気の魔法……? (ニ コ)あなたの名前は──うーんとそうね、ガルよ!」 ガ ル「がるるるるる」 ぽぷり「おいで、ガル。あのね、あたしこの線路の向こうの──」 ぽぷり、手を広げて近づこうとすると── バチバチッ! 静電気が起こり──ぽぷりが持って いた傘の先と通電。 ぽぷり「(はっ)ダメ!」 どーん! ぽぷり、吹き飛ぶ。 ぽぷり「きゃっ! どうしてそんな事するの? 危ないじゃない」 ガル、上昇していく。 ぽぷり「どっ、どこ行くの!?」 ガル、商店街の方にユラユラと飛んでいく」 ぽぷり「待って!」 ○にこにこ銀座上空 ガ ル「ぴーがるがるがるがるぴーぴー」 バチバチッ! パルスを体の周囲に走らせる。 と、眼下の商店街がどんどん停電。 ○八百ひち店頭 八百ひち「らっしゃいらっしゃー──」 バチン。目の前の電球が突然消えてびっくり。 八百ひち「あーん? 停電か?」 ○木野内電気店内 煌々と照明器具が輝いてた店内、突如消える。 ○商店街の道 暮れつつある空を見上げるぽぷり、愕然。 ぽぷり「たっ、大変!」 ガル、バルンガの如く大きくなっている。 ぽぷり「電気を吸ってる! だからあんなに膨れてるのよ! ど うしてあんなの出ちゃったんだろう(泣きそう)」 ガ ル「ガルルルルルーッ!」 ゴロゴロゴロ──ドーン! 雷がぽぷりのすぐ脇の電柱に落ちる。 ぽぷり「きゃあああっ!(目を伏せ)」 こわごわ見上げるぽぷり。 ガル、公園の方へ飛んでいく。 ぽぷり「ふきこさんに──、(強い顔)ううん。これはあたしが 出した魔法だもの! あたしが何とかしなきゃ!」 脇に落としていた傘に気づき拾い上げ──、ハッ! ぽぷり「──(決意)」 猛烈に走るぽぷり。ガルよりも速度は速い。 ○夕暮れの空 巨大に膨らんだガル、ゆらゆらと飛んでいく。 ガ ル「ぴーぴーぴーがりがりがり」 ○公園 ぽぷりはジャングルジムのてっぺんに。そこにはグ リムがいる。傘は脇に掛けてある。そして上空より ガルが近づいてきた。 ぽぷり「(呟く)来たわ……。グリム! あなたは緑と土地の魔     法よ! 今まであたし、あなの魔法って全然ちゃんと使 えなかったけれど、でもお願い! 今度こそあたしの魔 法になって!」 グリム「(聞いてるんだか)かぷちかぷちかぷち……」 ぽぷり「お願い聞いて!!(必死) あたしを助けて!」 バチバチバチ! ガルが接近してきた! ぽぷり「(ハッと見上げ)──ガル!──(グリムを見て)グリ ム!! お願い!!」 グリム「かーぷーちーっ」 と! ジャングルジムがどんどんマングローブの様 な木へ変容していく!(傘はそのまま) ぽぷり「(落ちる)わわっ」 ジャングルジムのてっぺん、グリム、鋭い避雷針の 様な形の葉へ! ぽぷり「! 避雷針になったわ!」       ぽぷり、両の拳を握り── ぽぷり「ガル!! ここに雷を落としなさーい!!」       ごろごろ──どーん! ぽぷり「きゃっ! (目を開き)グリム頑張れぇぇぇ!」 グリム「かーぷー」 淡く光るジャングルジム、ギシギシと揺れ── ガ ル「がり? がりりりりり?」 ひゅぅぅぅ。どんどん小さくなって、自分自身も避 雷針に吸い込まれていくガル。 ぽぷり「やったぁっ!」 ─────────────────────── ジャングルジムは、もう元の姿に戻っている。 てっぺんにに登って ぽぷり「ありがと──グリム……(ホントに嬉しい)」 グリム「(一瞬、電気効果でぶるるんとなって)かぷち」 ひらひらと葉っぱの様に飛び去っていくグリム。 微笑し、見上げていたぽぷり、傘の柄を掴む、と! ぽぷり「(髪の毛がバッと逆立ち)わっ」 ぽぷりの体が淡く光って──、 ぽぷり、空に浮かんでいく。 ぽぷり「ガルの魔法が未だ残ってたのかしら!? な、なんかこれ ……、変……。でも──、面白い!」 ○通学路 街灯が点いてる電柱。その上にゆらゆらと飛んでく るぽぷり(傘は開いていない)。 ぽぷり「ううっ、もうちょっと右ぃぃ」 必死に体を捻って電柱に近づく。 ぽぷり「! これって──」 針金が形成する奇妙な物体、上部から覗くと── カラスの子どもが啼いていた。母カラスが来て、ぽ ぷりに向かって威嚇。 ぽぷり「カラスさんの巣だったのね。大丈夫よ、もう近づいたり しない!」 降下していくぽぷり。体をとりまく光が消えていく。 と、自転車で走っていた警官、眼前にぽぷりが降り 立ったのを見てギョッ! キキーッ! ぽぷり「あ、こんばんは、お巡りさん! (ぺこりとお辞儀)     さようなら!(駆けだす)」 警 官「──はい、さような……ああ……?(空を見上げる)」                     つづく