ふしぎ魔法 フ ァ ン フ ァ ン フ ァ ー マ シ ィ ー               その27                 ま じ ょ の ア マ ネ                      第2稿                       脚本/ 小 中 千 昭 Animation Play by Chiaki J. Konaka                              98/04/15 登場人物 ぽぷり〔西野かおり〕(10) ふきこさん〔ファンファンファーマシィー店主〕 ニボシ〔黒い子猫〕 のんすけ(03)〔各話必ず一回登場〕 まじょのアマネ〔ぽぷりと同じ歳くらい〕 オウムのマネ ペットショップ店員 光の精霊 リック ○にこにこ銀座商店街/午後 真夏のギラギラした太陽が照りつける。蝉の声。 ペットショップでは鳥籠に水をあげている店員。 店 員「(犬たちに)暑いのに元気だね。後で散歩行こうな」       犬達、ワン! 店員、ふと空を見上げる──。 店 員「あれ……、傘が飛ばされてる……」 ○にこにこ銀座上空 ピンチィといっしょに飛んでいるぽぷり。 ぽぷり「こんなに暑い日はお空で散歩に限るわ。ね、ピンチィ」 ピンチィ「しゅ」 ぽぷり「空の高いところだとこんなに涼しいなんて、みんな知ら ないと思うわ。皆んながみんな魔女になっちゃえば面白 いのにね」 と、後方遠くから女の子声。 声 1「どいてどいてどいてどいてーっ」 声 2「どいてどいてー」 ぽぷり、え?と振り向く。 ぽぷり「──!」 ほうきに乗った、ぽぷりと同じくらいの歳の女の子 がジグザグにこっちに向かって飛んでくる! 肩に は緑色のオウム。ほうきには小さな苗がくくりつけ られている。 ぽぷり「だ、だあれ?あれ……」 女の子「どいてって言ってるでしょーっ!」 肩のオウム「でしょーっ」 ぽぷり「あ、あわわわ──、だっ、だってそんなに急にあたし」 女の子「早くどいてってばーっ」 肩のオウム「てばーっ」 ぽぷり「ピっ、ピンチィ!」 ピンチィ「しゅか」 女の子が突っ込んでくる寸前、ピンチィふわっと上 昇。ぽぷりの足の間を、頭を下げて通過する女の子。 ぽぷり「わーっ」 飛び去っていく女の子。 ぽぷり「──(唖然)今のって、魔女かしら……。ふきこさん以 外の魔女って初めて見たわ。そうよね、絶対いる筈だも のね! 今度もし会えたらゆっくりお話ししたいな」 アマネ「(先行オフ)なによあんたの飛び方」 マ ネ「(先行オフ)トビカタ」 ぽぷり「え」 ○ファーマシィー店内 口あんぐりのぽぷり。 ふきこの前にそっくり返って立つ女の子。 アマネ「(てきぱき)傘で飛ぶなんて、英国の魔女気取り? 風     の精霊をあんな風に使うなんてだいたい生意気だわ」 マ ネ「なまいきなまいき」 ぽぷり「あのー、ふきこさん……?」 ふきこ「(苦笑)わたくしの古いお友達の娘さんですわ」 ニボシ「にゃあ」 アマネ「あたしはアマネ。この子(オウム)はマネ」 マ ネ「マネ」 ぽぷり「あ、あのあたしぽぷり。ホントの名前は西野かおり、っ ていうんだけど、この名前がとっても気に入ってるから そう呼んで──」 アマネ「あああっ、どうしてそうまどろっこしいのよ! 一言で 済むじゃないの、あたしはぽぷりです、って」 マ ネ「ぽぷりぽぷり」 ぽぷり「あ、御免なさい。えっとアマネちゃんは魔女なの?」 アマネ「ほうきで空を飛ぶのは魔女に決まっているじゃない」 マ ネ「決まってるじゃない」 ぽぷり「──(む〜)なんかこの子、付き合いにくそうだわ」 アマネ「ふきこさん、この子は一体なあに? 魔女の子じゃない のに魔女の真似事なんかしてるわ」 マ ネ「マネ、マネ」 ぽぷり「ひっどーいっ。あたしは魔女よっ!」 ○ファーマシィー裏/バルコニー プランターにアマネが持ってきた苗を植えながら ふきこ「(苦笑)ぽぷりちゃんは魔女の見習いですのよ。魔女の 子じゃなくちゃ魔女になっちゃいけないって決まりはあ りませんわ、アマネちゃん」 ニボシ「にゃあ」 ぽぷり「あれ……。ふきこさんとアマネちゃん、共通点があるわ」 ぽぷり、ニボシとマネを交互に見て アマネ「なっ、何よ」 マ ネ「なによ」 ぽぷり「二人とも、動物がいつも一緒なのね」 アマネ「そーんな事も知らないの? 魔女は自分が一番好きな動 物といつも一緒なのよ。あんたにはいないのね」 ぽぷり「あ、あたしは──、あ、いるもの! ピンチィとかシブ とか、魔法があたしの友達」 アマネ「(むー)なんて生意気なの」 マ ネ「生意気」 ふきこ「まあまあ。アマネちゃんはわたくしに届け物を持ってき て下さったの。せっかくいらしたんですから仲良く遊ん で下さいな」 にらみ合う二人。 ○にこにこ銀座商店街 並んで歩く二人。目を合わせず アマネ「見習いなんて生意気だわ」 マ ネ「生意気」 ぽぷり「アマネちゃんだって、全然飛び方下手じゃない」 アマネ「(かちん)なっ。そんな事ないわ! さっきはあんたが 変なところでぷかぷか飛んでるからいけなかったのよ!」 ぽぷり「ほんとに上手だったら、簡単によけられた筈だわ。あれ くらいだったら、見習いのあたしの方が魔法って上手か もね」 アマネ「(あっ、あっ)──試合だわ! 魔法試合をしなさい!」 マ ネ「試合試合」 ぽぷり「魔法、試合?」 アマネ「どっちが魔法が上手か、はっきり思い知らせてあげるわ」 マ ネ「思い知れ」 ぽぷり「そ、そんな事……」 と、たばこ屋、通りかかる。 たばこ屋「やあぽぷりちゃん。今日も暑いね。おや、そちらのお お嬢さんは親戚の子かい?」 ぽぷり+アマネ「誰がっ!?」 マ ネ「だれ?」 たばこ屋「……」 ○公園 対峙する二人。 アマネ「いい? これからどっちが凄い魔法が使えるかを見せっ こするのよ」 マ ネ「みせっこみせっこ」 ぽぷり「す、凄い魔法……。あたしの魔法って凄いかしら……」 アマネ「じゃ、あたしから見せてあげるわ!(ニヤ)」 ぽぷり「(ごくり)」 アマネ、ばっと両手を広げ── アマネ「イカヅチヨイカヅチヨキタレ!」 マ ネ「キタレーッ」 突如3mくらいの虚空に、小さな黒雲が発生。 ぽぷり「!」 ごろごろごろ……ぴかっ! 雷は雲の中で光っただけ。黒雲から雨がシトシト。 ぽぷり「……これだけ?」 アマネ「なっ、なによこれだけとは!?」 マ ネ「だけとわっ」 ぽぷり「じゃああたしの番ね」 ぽぷり、アルデルの小瓶に種を入れ── アマネ「(ふん)ふきこさんの作った種じゃない、それ」 ぽぷり「だってあたし、これが無いと魔法使えないんだもの……。 マホウヨマホウヨ、ウマレテオイデ!」 ぴかっ! ぽよん! リック「にっかにっかにっかー」 ぽぷり「リック! こんにちは」 リック「にっかにっか」 アマネ「魔法とおしゃべりするなんてバカみたい」 マ ネ「バカみたい」      アマネ、指をピンと鳴らすと──雨雲、ぽぷりの上に      移動。ぽぷり、弱いシャワーを浴びてる。 ぽぷり「(む〜〜#)あんな雨雲なんかに負けないわよね?」 リック「にっ、か……?」 ぽぷり「(上を指さし)あれってば。あの雨雲!」 リック「にっかーっ!」 一際輝くリック。 アマネ「あ……」 雨雲、霧散して──小さな虹。 ぽぷり「ありがとうリック! どう?アマネちゃん。あたしの魔 法だって、ちょっとすごいでしょ?」   ぽぷり、くるっと周り、服をリックで乾かしている。 アマネ「何よそんなもので勝ったなんて思わないでくれる。いい     わ もっと凄いものを見せあげる!(両手を広げ) ホノオヨマッカナホノオヨモエアガレ!」 マ ネ「モエアガレーッ」 ぼ! 1m程の炎が眼前に立ち上がる。 ぽぷり「──す、すごい……」 炎、まるで人の様な形状で──ぽぷりに迫る。 ぽぷり「あ、熱いわ(にじり下がっていく)」 アマネ「(ニヤ)夏は暑いものよ」 マ ネ「アツイアツイ」 ぽぷり「り、リック!」 リック「にっかにっかにっか」 リック、楽しげに周りをふわふわ飛んでいる。 ぽぷり「何しているの?リック!」 アマネ「光の精霊は炎と仲がいいの。そんな事も知らなかった?」 マ ネ「シラナ──」 マネ、ふと周りを見回し──突如飛び立つ。 アマネ「あっ、マネ!?」 ぽぷりの前の炎、しゅーっと消える。 ぽぷり「ふう……。リック!? あたしの魔法でしょ!? どうして 勝手に遊んじゃうのよ」 リック「にっかにっかにっか」 アマネ、マネを探して公園中を走り回っている。 アマネ「マネー! マネどこーっ!?」 ぽぷり「あのオウム、すぐ帰ってくるんじゃないの?」 アマネ「そういう事じゃないの! あたしマネがいないと──」 ぽぷり「マネがいないと……?」 あっ、と口を抑えるアマネ。 と、犬が数匹、公園内に走り込んでくる。 アマネ「きゃあ! あたし犬って苦手なの!」 ぽぷりの後ろに逃げるアマネ。ぽぷり、屈んで ぽぷり「(頭を撫でながら)あれ? この犬、見たことある……」 と、そこにやってくるペットショップ店員。肩には 赤いオウムと、もう片方の肩にはマネ。 ぽぷり「あっ、ペットショップのお兄さん!」 アマネ「マネ!」 店 員「やあぽぷりちゃん」 アマネ、おずおずと近づき── アマネ「──あ、あの……」 店 員「このオウムは君のだね?」 顔を真っ赤にして頷くアマネ。マネ、アマネの肩へ。 ○ファーマシィー裏手バルコニー ぽぷり「アマネちゃんの魔法、本当はそのマネの力なのね?」 ほうきを手にしたアマネ、ぎっくーっ! アマネ「──ば、バレちゃった?」 ぽぷり「だって、マネがいなくなったら魔法も消えちゃったもの」 アマネ「──あたし、まだマネがいないと魔法って使えないの」 ふきこ「(微笑)わたくしの魔法だって、ニボシがいるから強く なれるんですのよ」 ぽぷり「──でも、やっぱりあたしより魔法は凄いわ。だってこ んな遠くにまで一人で飛んで来ちゃうんだもん」 アマネ「え……」 ぽぷり「ばいはい、アマネちゃん、マネ」 マ ネ「ばいばい」 アマネ「! あの子の真似はしなくていいの!」 マ ネ「しなくていいの」 アマネ、ほうきに跨がるが、ぱっとぽぷりに向き アマネ「あんた、空まで一緒に来てよ」 ぽぷり「──え?」 ○空 傘のぽぷりとアマネ、森の上に来たところ。 ぽぷり「──?」 アマネ「あのね、あたし、一人で遠くまで飛んだのって初めてだ     ったの。だからすっごくどきどきしてて……」 ぽぷり「──そうだったの……」 アマネ「(また強い顔になり)ちゃんとあたしが西まで飛んでいく     のを見ててよねっ、ぽぷり!」 ぽぷり「! (呟き)名前、初めて呼んでくれた……」       飛び去っていくアマネ。 ぽぷり「ばいばーい!アマネちゃーん! また来てねーっ!」 アマネ「(遠くより)今度は負けないからねーっ」 くすくす笑って手を大きく振るぽぷり。                     つづく