名前について
和名のセンニチコウは花期が長いことに因むそうで、サルスベリ(百日紅)と比較して付けられたそうです。 「花ことば」によると、同様の理由で everlasting flower(永久花)という英名があるようです。同書によると immortelle(不死花)とも呼ばれているようですが、「リーダーズ英和辞典」で調べた限り、everlasting flower と immortelle は同義語のようで、特に「永久花」、「不死花」のような区別をする必要はないように思えました。
形態、栽培について
一年草と多年草の種があるそうです。茎は直立性あるいは匍匐性だそうです。全草が軟毛か絨毛に覆われています。全縁の葉が対生に着生しています。
| 花序は頭状で、花序の基部には1〜3枚の無柄の葉があります。花序の中で色が着いて目立っているものは苞(小苞)で、色は白、紫、ピンク、オレンジなどです。本当の花(小花)は小さく、2枚の小苞に包まれていて、余り目立ちません。花は両性花で、有毛でほぼ離生する5枚の花被片、花糸が癒合して筒状になっている5つの雄しべ、二裂する柱頭を有する単室の子房から成ります。なお、子房は上位です。左はセンニチコウの花の写真です。子房を露出させるため、一部の器官を切除しています。 花序は、ドライフラワーにしたり、ポプリにすることが出来ます。 |
日本で園芸種として扱われているのはセンニチコウとキバナセンニチコウですが、この2種の形態的な違い等は、以下の通りです。
| センニチコウ | キバナセンニチコウ |
園芸的分類 | 春播き一年草 | 春播き一年草 本来は宿根性の多年草 |
草丈 | 15(矮性)〜50(高性)cm | 60〜70cm |
分枝 | よく分枝する | センニチコウより分枝が少ない |
葉 | 葉柄が短い 楕円形〜長楕円形、先が尖る | ほぼ無柄 倒披針形〜線状長楕円形、先が尖る |
花序 | 球形 白、紫、赤、桃など | 卵状球形、センニチコウよりやや大きい 原種は橙黄、園芸品種には鮮紅、赤紫色もある |
センニチコウとキバナセンニチコウは、いずれも春播きの一年草として扱います(キバナセンニチコウは、本来は多年草)。種子は綿毛に覆われていていますが、そのような種子は砂と一緒に揉んでから播種すると吸水し易くなり、発芽し易くなるそうです。最近は、クリーンシードと呼ばれる、予め綿毛が取り除かれた種子が販売されていて、それは直接播種することが出来ます。綿毛がある種子の寿命は数年だそうですが、クリーンシードの寿命は短いそうです。発芽適温は20℃以上で、発芽には1〜2週間かかるそうです。直根性で、直播きするか、本葉が2対までに定植を行うと良いそうです。日当たりが良い場所が向いていて、土壌は深く肥沃で水捌けが良い物が良いそうです。生育適温は15〜30℃だそうです。
種類など
種数は上記の通りですが、前述の通り、園芸的に利用されているのはセンニチコウとキバナセンニチコウの2種だそうです。図鑑などに載っていた種は以下の通りです。
・G. affinis F. Muell. ex Benth
・G. canescens R. Br.
・G. cunninghamii Druce
・G. decumbens Jacq.
・センニチコウ(G. globosa L.)
・キバナセンニチコウ(G. haageana Klotzsch)
・G. hybrida Druce
本棚以外の参考文献
CRC World Dictionary of PLANT NAMES -Common names, scientific names, eponyms, synonyms, and etymology. CRC Press. 2000.
松田徳一郎監修.リーダーズ英和辞典(初版・第21刷).研究社.1995年.
Savchenko, T. Distribution and identity of phytoecdysteroids in Gomphrena spp. (Amaranthaceae). Biochemical Systematics and Ecology. 26: 337-346. 1998.
(2003.6.15./最新の更新:2004.8.15.)
|