名前について
| 英名のpincushion flowerは「針刺しのような花」のことで、頭状花序が針刺し、伸長した花柱が針刺しに刺さった針のように見えることから付けられたものと思われます(左の写真はセイヨウマツムシソウの頭状花序)。 和名のマツムシソウは、花が咲き終わった後の果実(複合果)の形が、巡礼が持っていたマツムシという小さな鐘の形に似ていることから付いたそうです。 |
生態・形態・栽培など
ほとんどの種が草本ですが、S. cretica のように亜低木の種も僅かながらあるそうです。一年生、二年生、多年生の種があるそうです。葉は対生しています。葉の切れ込みは、切れ込みのない全縁か鋸歯で、浅裂か深裂することがあります。小花はキク科と同じく頭状花序を形成しています。キク科では、花序の周りにある左右相称形の「舌状花」と中心にある放射相称形の「管状花(筒状花)」が区別されていますが、マツムシソウ科では、花序の周りの「辺花(周辺花)」と花序の中心の「心花(中心花)」が区別されています。辺花は舌状花のように見えますが、心花との間に形態の連続的な変化があることから、舌状花とは区別されているようです。頭状花序は半球状で茎の先端に着いていて、花序の基部には1〜2列の総苞があります。小花の萼筒はカップ状で、剛毛が生えています。萼筒の下には、高出葉に由来する小総苞(あるいは、副萼とも呼ばれています)があります。花冠筒は短く、花冠は4〜5裂していますが、辺花では5つの裂片の大きさが揃っていません。花色は、青、桃、紫、淡黄、白等があるそうです。雄しべは4本ですが、稀に2本のこともあるそうです。雌しべは1本です。果実は痩果で小総苞に包まれています。小総苞は花が萎れてから大きくなることがあります。 栽培ですが、繁殖は実生によります。タネは、春か秋に直播きしますが、移植も出来るそうです。播種後は軽く覆土します。多年生の種は、春に株分けや挿し芽も出来るそうです。日当たりが良く、水捌けの良い土地を好みます。土質は選ばないようですが、肥沃なものがいいと言われています。また、ヨーロッパ原産の種はアルカリ土壌が向いていると言われています。
種類など
種数は上記の通りです。一部の種は以下の通りです。
・S. anthemifolia Ecklon et Zeyh.
・セイヨウマツムシソウ(S. atropurpurea L.)
・コーカサスマツムシソウ(S. caucasica Bieb.)
・S. columbaria L.
・S. cretica L.
・S. fischeri DC.
・ウスイロマツムシソウ(S. graminifolia L.)
・マツムシソウ(S. japonica Miq.)
タカネマツムシソウ(var. alpina Takeda)
ソナレマツムシソウ(f. littoralis Nakai)(分類上の上位の変種は不明)
・ニイタカマツムシソウ(S. lacerifolia Hayata)
・S. lucida Vill.
・S. ochroleuca L.
・ヤナギマツムシソウ(S. orientalis Lag.)
・S. palaestina L.
・S. prolifera L.
・S. pyrenaica All.
・S. rotata Bieb.
・S. silenifolia Waldst. et Kit.
・S. sosnowskii Sulak.
・S. stellata L.
・S. ucranica L.
・S. variifolia Boiss.
・S. vestita Facch. et Koch
本棚以外の参考文献
(2005.7.10./最新の更新:2005.8.14.)
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