メモ | パトリニア属の解説は、こちらを御覧下さい。 和名は、オミナエシを女性(をみな)に見立てたのに対比したもので、強健に見えることから、男に例えたことに由来するそうです。また、万葉集(759年?成立)の中では「このてがしは」と詠まれたり(「このてがしは」は、他に、コノテガシワそのものや、カシワやナラの若葉を指すようです)、平安時代には、オホツチ、チメクサ等と呼ばれていたそうです。 日本や朝鮮半島、中国に分布しているそうです。
多年草です。茎や葉に毛が生えていて、これが種形容語(種小名)の「villosa(軟毛のある)」の由来になっています。葉は対生し、茎の上位の葉は羽状に切れ込みが入っています。花色は白です。果実には翼(よく)があります。株元からランナーを伸ばして、これによって増殖します。
中国の薬草の本である「神農本草経」(500年)にも載っていて、根、もしくは、全草が「敗醤(パイチャン)」と呼ばれていますが、独特の異臭が腐った豆醤に似ていることからその名が付けられたそうです。根や根茎にモノテルペン配糖体が含まれているそうです。薬効は上記の通りです。 また、根から水やメタノールで抽出した成分には、P物質(*)によって誘導された皮膚の痒みを抑える効果があることが、マウスで確認されています。 *P物質:substance P(サブスタンスP)。血圧降下作用、唾液分泌亢進、催涙、回腸収縮作用を有する活性ペプチド。ペプチド性知覚ニューロン物質と考えられ、神経伝達の調節をしているとも考えられているそうです。
追記(2005.9.5.) パトリニア属の解説を追加したのに伴い、内容の一部をそちらに移しました。また、メモをほぼ全文改訂し、コメントを追加しました。
本棚以外の参考文献
北村四郎.オミナエシ.世界の植物.193〜194ページ.朝日新聞社.1975年.
Tohda, C. et al. Inhibitory effects of methanol extracts of herbal medicines on substance P-induced itch-scratch response. Biological and Pharmaceutical Bulletin. 23: 599-601. 2000.
今堀和友ら監修.生化学辞典・第3版.東京化学同人.1998年.
|