このページ内の文章・画像の転載を禁止します


ロベリア・エリヌス

ロベリア・エリヌスロベリア・エリヌス
品種:‘Snowball品種:‘アクア ブルーアイ’


キキョウ科 ロベリア属(ミゾカクシ属)
学名Lobelia erinus L.
英名Edging Lobelia
和名ルリチョウソウ(瑠璃蝶草)、ルリチョウチョウ(瑠璃蝶々)
別名ルリミゾカクシ(瑠璃溝隠)
花言葉悪意、敵意、貞淑、謙遜
メモ

 属名は、植物学者であり、イギリスのジェームズ1世の医者であったMatthias de l'Obelの名前に由来します。
 原産は南アフリカです。

 園芸植物で「ロベリア」と言ったら、一般に、この「Lobelia erinus」のことを指します。英名が「縁飾りのロベリア」を意味している通り、花壇や鉢物に向いています。品種は、高性種(草丈20〜25cm)、矮性種(コンパクタ・グループ:草丈10〜12cm)、垂下種(ペンデュラ・グループ:茎が横に伸び、吊り鉢向き)の三つに大別することが出来るそうです。
 本来は多年草ですが、秋播き一年草として扱っています。播種は、種子が非常に細かいので、覆土しないようにします。播種後の水遣りは、噴霧器で行うか、あるいは、鉢の底から水を吸収させます。越冬時に霜に当てないようにします。もともと湿気のある排水の良い砂礫地に自生しているので、水分を十分に与え乾燥させないようにします。また、冷涼な気候を好み、高温多湿には弱いので注意する必要があるそうです。花が終わった後に剪定すれば、秋にも花が咲くそうです。挿し芽でも繁殖させることが出来るそうです。

 花は不完全花(一つの花の中で、萼、花冠、雄しべ、雌しべのいずれか一つでも欠けている花のこと。全てが揃っているのは完全花)です。花の多くは成熟した雌しべを着けず、雌しべを着けた花では葯が十分に発達しても花粉が作られません。まれに出来る完全花は雄ずい先熟(雌しべより雄しべが早く成熟すること)のため、自家受粉しません。しかし、人為的に受粉させると自家受粉できるそうです。
 実体顕微鏡で花を見てみましたが、花柱が花弁に似たものとキャップ状のものに覆われていて、キャップ状のものを取ってみたら、中に花粉が詰まっていました。ある文献によると、「葯は花柱を環状に囲む」そうなので、花弁に似たものは花糸、キャップ状のものは葯のようです。


本棚以外の参考文献
  • Payne, T. et al. Transformation and regeneration of Lobelia erinus using Agrobacterium tumefaciens. Plant Cell Report. 18: 308-311. 1998.(イントロダクションの一部を参考)

コメント

 播種は昨年の10月上旬、発芽はその10日後、最初の開花は今年の3月中旬でした(無加温の温室内で栽培)。写真では一花しか目立っていませんが、実際にはたくさん咲いています。左半分の青い部分は、ピントが合っていないので分かりにくいかもしれませんが、全部花です。
 6号鉢に3株植えて、そのうちの一株では1月頃から花芽が見え始めました。寒さで傷まないか心配でしたが、暖冬のせいか無事に開花しました(^^)。その株では花がたくさん咲いていますが、株自体の成長は抑えられているみたいで、葉っぱは小さいです。他の株では、草丈が高くなったり、葉っぱが目立つくらいに大きくなってから、先に咲いた株の花よりやや大きめの花が咲きました。同じ鉢の中で同じように栽培していたのに、こんなに個体差が出るなんて不思議です(^^;。根の張り方が違うのでしょうかね?

 参考文献をほぼ直訳して、受粉の仕組みを長々と解説しちゃいましたが、平たく言っちゃえば、雄花と雌花を着けるってことでしょうね。出来れば、そのことを記したオリジナルの文献が欲しかったのですが、引用文献の紹介はありませんでした。他の文献には雄花・雌花を着けるといった記述はなく、ちょっと、半信半疑です(^^;。顕微鏡で見たと言っても、雌しべが成熟しているかどうかは判断できませんでしたし。参考文献によると、ロベリアについては、詳細は調べられていないらしいです。
 参考文献は、Agrobacterium tumefaciens(アグロバクテリウム)という、根頭癌腫病と呼ばれる病気を引き起こす細菌を利用し、ロベリアに遺伝子を導入して形質転換させるという内容の論文ですが、実験は成功したとのことです。日本でも、青森県のグループが似たような実験を行い、昨年の園芸学会秋季大会で発表したようです。

 雄ずい先熟と言えば、キキョウも雄ずい先熟しますが、他のキキョウ科植物でも同じ仕組みで自家受粉を防いでいるのか、気になるところです。(2002.4.13.)

もう一言(2003.5.4.)
 ‘アクア ブルーアイ’のサイズを変更し、‘Snowball’の写真を追加しました。‘Snowball’は、Thompson & Morgan のカタログ(2001年)を見て通販で購入したものですが、品種名に「snow」が入っていたからです(笑)。Lobelia erinus の和名はルリチョウソウ(瑠璃蝶草)ですが、‘Snowball’は雪のような白色です。播種は昨年の10月上旬、発芽はその10日後、最初の開花は今年の5月上旬、無加温の温室で栽培しています。播種と発芽は‘アクア ブルーアイ’とほぼ同じ時期ですが、咲き始めは1ヶ月以上遅かったです。写真では‘アクア ブルーアイ’より大きく見えますが、実際は、余り変わらないと思います。

もう一言2(2005.5.7.)
 昨年は、こぼれ種から‘アクア ブルーアイ’と‘Snowball’が咲きました。ずっと無加温の温室で栽培していますが、枯れることなく越冬しました。また、‘アクアブルーアイ’は、冬の間も僅かですが咲いていました。‘Snowball’も最近ちらほらと咲いています。もともと冷涼な気候が適しているそうですが、意外と低い温度に耐えられるようです。来年以降も咲いて貰いたいものです。

 
HOME   植物名一覧

このページ内の文章・画像の転載を禁止します