(1月8日から10月17日の分)

2000年新着情報 (2000年10月21日から12月27日) 

(12月27日) 「インフルエンザ/ネット使い流行に先手/厚生省 患者数を毎日公表」と新しい試みが計画されました(日経12/25)。 「今冬のインフルエンザ対策を強化するため、厚生省では来年1月から新たに全国の約500病院に患者の発生状況を毎日報告してもらい、翌日のインターネットで一般に情報提供することを決めた」ようです。 花粉症に関しては医療機関に受診した患者さんの情報を、いくつかの地域の花粉情報センターがまとめています。 ただし、医療機関を受診していない患者さんの情報は把握されていないようであり、本ページでは来年1月中旬より、症状のアンケートを毎週行い、結果を早く報告する試みを計画しています。 その際には皆さんのご協力を、是非お願いしたいと思います。


平成13年のスギ・ヒノキ花粉予測の第3報です。

(12月27日) 医療従事者向けの Medical Tribune の12月21日号で花粉症特集(15ページ)が掲載され、2001年スギ花粉飛散予測は「西日本を中心に大量飛散」の傾向があるようです。 平成13年の関東地方の動向は、東邦大学佐橋氏によると「2年連続の暑い夏も樹勢は衰退」と花粉飛散数増加の因子と、花粉飛散数減少の両方の因子があるようです。 過去の大量飛散年はいずれも最高気温、日射量とも前年に比べ低下していたので、翌年は飛散数が減少していました。 しかし平成12年のように「大量飛散年も暑い夏は初」とのことで、今までとは異なった予測がなされました。 平成12年に少量飛散に終わった西日本では、樹勢の快復が見込まれることから、平成13年は大量飛散が予測されるようです。 朝日新聞でも「花粉、来年は大暴れ? 近畿・東海地方は要注意」と本日夕方ネット上でニュースが掲載されています。


(12月20日) 「花粉情報により国民の健康的な活動を支援すること」と「豊かな健康にかなう緑を再生すること」の2点を目的とした「森林育成と健康な市民生活のための花粉研究財団」を特定非営利活動法人(NPO)にする動きが活発になってきました。 花粉症対策に花粉情報が不可欠であり、活動支援をすべきと判断され、国も何らかの資金援助を検討しているようです。 遅れ気味ではありますが、これまで地道に行われてきた花粉観測が正しい評価を受けつつあるようです。 この財団でもホームページで花粉情報を提供するように計画中です。 

(12月15日) 医師会のホームページが充実してきていまして、新ネット医師会というものが最近できたようです。 全国医師会リンクによるとHPを持っている医師会が全都道府県にあり、医師会に加盟している医療機関の情報が入手でき、患者さんの医療機関検索に役立ちます。 千代田区医師会のHP科目別医療機関一覧や、地図から検索ができて、特に優れていると思われます。 各医師会には実に多くの情報があり、今後多くの人に活用されていくと思います。

(12月9日) 鼻、目、のどなどが乾燥して、異物感や咳の治りにくい患者さんの受診が目立っております。 これは空気の乾燥や風邪などが原因と思われ、乾燥対策の指導に時間をかけています。 気温の面では「気温平年値、”暖冬”に更新」と暖冬の基準値が10年ぶりに変更され、昨年まで”暖冬”と表現されていた気温がこれからは”平年並み”と表現されることも起こり得ます。(12/7読売夕)。
 「屋上に緑 都、新築ビルに義務付け ヒートアイランド対策 容積率アップのボーナス付き」(12/9毎日)、「お台場沖に森 80ヘクタール、広大な”自然”都が方針 ごみ処分場地利用」(12/7読売夕)、などとディーゼル対策を含め、東京都の環境行政に大きな変化が起こっているようです。 東京都の大気汚染地図情報(速報値)も一目でわかる素晴らしいもので、同じことが花粉飛散観測でも応用できないものかと思われます。

(12月8日) 「21世紀に実現 夢の技術予測」と科学技術庁の科学技術政策研究所は、専門家の意見を基に「21世紀の科学技術の展望」を発表しました(12/8毎日)。 その中には「遺伝子技術での人類の進化:ゲノム・たんぱく質の機能解明で、病気にかかりにくい人類へ進化が可能」、「災害対策:気候や環境の変化などの正確な予測や、地震の時間単位での予知が可能になる」などの花粉症克服に役立ちそうな技術もあります。

(12月8日) メディカル朝日12月号で「関東・甲信越ブロック 花粉症の初期療法」に関する座談会が掲載されています(馬場廣太郎氏、吉田博一氏、小澤仁氏、長尾精文氏)。 また女性向け健康雑誌 りふれくらぶ No.5(やさしい手1月号増刊)で「この冬からはじめる花粉症の早期予防と対策」が特集され、妊娠中に花粉症で苦労された松本明子さん、その兄、筆者の座談会などが紹介されています。 いずれの座談会でも花粉飛散初期からおこなう「抗アレルギー薬内服開始などの初期療法」の重要性が指摘されています。 

(12月5日)  東京都は、12月1日から携帯電話による医療機関案内医療機関検索サービス)を開始する(MedWave)とのことですが、携帯電話以外でも使えるので多くの方に役立ちそうです。 また札幌臨床検査センターの医療機関HPの検索は非常に多くのページが収録されており、この分野のベストページと思われます。 耳鼻科領域をまとめたものとしては、川島医院のページが優れています。

(12月5日) 「長い年月を生き抜いてきた樹木の保護活動に取り組む巨樹・巨木保護中央評議会の設立シンポジウムが、11月21日東京で開かれました(12/5朝日)。 日本は屈趾の森林国で、「森の巨人たち百選」に選ばれたもののうち、スギは28木、ヒノキ6木、サワラ1木と、スギヒノキ科で35木あり全体の1/3にも達しました。 千年の昔から日本ではスギ・ヒノキが自然の重要な要素となっていたことが推察されます。

(12月5日) 「i モードが主治医 生活習慣病の自己管理をサポート 月数百円で試験運用へ」と、喘息や糖尿病に新しい技術が用いられていくようです(12/1読売夕)。 これは東京芸術大の須甲氏、NTT-ME、三井物産などのグループが開発したもので、患者さんの症状を自動的に判定し、必要なメッセージが伝えられるシステムです。 喘息対策では他にもテレメディスンというシステムが健康保険の適応を申請中であり、このような新しい技術が花粉症に対しても応用が利くかどうか、私たちも検討していきます。

(12月5日) 「スギ花粉を吸着 アレルギー抑制」と花粉症用のマスクが紹介されました(12/4読売夕)。 これはライオンと杏林大学の共同研究によるもので、泥に含まれるスメクタイトという物質が、スギ花粉の抗原を活性炭の2倍もの強さで吸着するとのことです。

(12月5日) アレルギーを誘発する可能性が指摘されている「未承認の組み換えトウモロコシ 花粉や流通で混入?」と報道されました(12/5朝日)。 遺伝子組み替えトウモロコシ「スターリンク」は種子の中に害虫を殺すタンパク質「Cry9c」を作るように遺伝子を組み換えた品種で、このタンパク質が人に対してアレルギーを起こす可能性があり、米政府は畜産の資料用に限って栽培を認可しています。 この新種トウモロコシの作付け面積の割合は0.4%に過ぎないのですが、大きな混入騒ぎになったのはどこかで交雑があり、それが数キロにも及ぶ花粉飛散によるという説があるようです。 飛散花粉の拡散の問題に、改めて興味が持たれます。

(12月2日) 「第5回空中花粉測定と花粉情報懇談会」が横浜で11月30日に開かれ、「森林育成と健康な市民生活のための花粉研究財団」特定非営利活動法人(NPO)として設立する活動を開始することが決まりました(会長佐橋紀男氏、副会長小笠原寛氏、宇佐神篤氏)。 これは「花粉情報により国民の健康的な活動を支援すること」と「豊かな健康にかなう緑を再生すること」の2点を目的としています。 これによりほとんどの国内において、ボランティア活動で花粉観測や花粉予報をしているグループの支援ができていくものと思われます。 
 現在の状態では、花粉飛散観測者の高齢化と、市や県からの助成金や企業からの寄付金の減少化が進んでおり、患者さんや医療機関が花粉情報を入手していくことが徐々に難しくなっていきそうです。 そこでこの問題をメディアに働きかけたり(日経新聞2/15、毎日新聞東海版3/3、朝日新聞8/1)、ハクション議員連盟(世話人小野晋也衆議院議員)の会議で説明を加えて来ています(8/3)。 豊かな花粉情報を得るためには、インフラストラクチャーの発達だけでなく、コンテンツの豊かさも同様に重要と思われます。


(12月2日) 平成13年のスギ・ヒノキ花粉予測の第2報です。

「薬の知識(ライフサイエンス出版)」12月号で「新世紀に向けた花粉症治療」が特集され、8題のテーマで最新情報が紹介されています。 2001年の花粉飛散予測について東邦大学の佐橋氏は「南関東の主な都市の予想総花粉数は2000個-2500個と、やや平均を上回るものと思われる」と報告しています。 日本気象協会の村山氏は「2001年春に、2000年春よりも多少でも花粉が減少するのは関東と北陸だけであり、その他の地方ではすべて2000年春より増加する見込み」とのことです。 また「花粉が2000年春より減少する地域でも、平年に比べると1.5倍-2倍の予想になっており、決して少ない量ではない」とのことです。 2000年春に大量飛散した地域では、鼻の過敏性が亢進していたり血清の特異IgE抗体値が上昇した状態が続き、花粉症の症状が強く出やすいと思われ例年にも増した予防が必要と思われます。


(11月29日) 「インフルエンザの季節 予防の基本はワクチン?」という特集が掲載されました(毎日11/29)。 「最近の考え方、特にお年寄りに有効」と書かれていますが、「子供には効かぬ」という反ワクチンの立場の意見も掲載されています。 ワクチンの有効性は別として、花粉症の時期の前にインフルエンザなどの風邪をひくことは、鼻の粘膜を障害したり、全身的な体調を悪くし花粉症を悪化させます。 そこで花粉症の患者さんは風邪をひかないように、またひいた際には早めに治すように心がけるようにしたいものです。 国立感染症センターのページでは、一般向けのインフルエンザの情報が充実しています。

(11月25日) 11月20日に気象庁から、12月から明年2月までの3ヶ月気象予報が出されました(11/21毎日)。 それによると「暖冬傾向が続き、降雪は少な目」とのことです。 暖冬が続くようですとスギ花粉飛散開始が早まることもあり、患者さんは早めの対策が望まれます。 医療機関も同様に、12月に入る頃からポスターを掲示し、外来が混雑しない時期の早めの受診を勧めるのが良いと思われます。

(11月25日) 11月30日より12月2日まで、第50回日本アレルギー学会がパシフィコ横浜で開かれます。 花粉症に関するシンポジウムや教育セミナーと共に一般演題が34題報告されます。 その中でリアルタイム花粉観測に関する演題が7題も見受けられ、今後の発展が期待されます。 また第5回空中花粉測定と花粉情報懇談会(事務局岸川禮子氏)も会期中の11月30日に開かれます。

(11月25日) 「なんだか変!東京ウオッチング」で「木造住宅に輸入材 国産材より長所多く。価格に加え品質も 完成時の寸法狂いにも差」と輸入材について特集されました(11/21毎日)。 林野庁によると1998年の国産木材の割合は21%で、残りの79%が輸入とのことです。 また製品卸価格で国産スギが一立方メートル当たり5万9800円にたいし、米ツガが5万600円と開きがあるとのことです。 国産材より海外の大規模工場で乾燥させたものほど、寸法の狂いが少ないようです。 日本の中で花粉を多く産生するスギの木を、適切に利用しないと、なかなか花粉を減らすことに結びつかないと思われます。 

(11月21日) 「暖房と乾燥 湿度保ってウイルス撃退」「インフルエンザに注意 換気でカビ発生を防ぐ」と湿度対策についての特集記事が掲載されました(11/21朝日)。 「インフルエンザ流行にとって乾燥は大敵」で、のどの粘膜は乾燥すると感染しやすく、ウイルスも乾燥に弱いとのことです。 また「加湿は快適」で加湿により目の痛みや肌の乾き・かゆみ、のどの渇きなどを訴える人が半減したようです。 ただし「菌の繁殖も」高湿度で増加し、カビの発生にも注意が必要とのことです。 カビはアレルギーを起こすばかりでなく、カビをエサにダニが繁殖するので、ダニアレルギーを持つ方は、カビにも注意が必要です。
 花粉症でも鼻や結膜が乾燥すること、花粉の付着や排除に妨げとなり悪化の原因となるようです。 またインフルエンザなどで痛めつけられた粘膜は、やはり防御機構が侵され花粉症発症に結びつきやすくなるでしょう。 今のうちから風邪をひかないようにしたり、鼻やのどが渇きすぎないように注意をしておくことが、花粉症の予防に一つとなると思います。 部屋の加湿は適切に行うことが必要で、相対湿度が50%を超えれば加湿器を止めること、超音波式加湿器より加熱して水蒸気を蒸発させるタイプが安全なようです(住まいQ&A室内汚染とアレルギーより)。 もうすでに、来年に向けた花粉症対策が勧められています(SmartWoman)。 

(11月8日)「かぜ薬に脳出血副作用の成分 米で製造差し止め」と報道されました(11/7読売夕)。 これは市販の風邪薬に含まれている、塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)が脳出血の副作用を起こす危険性があり、この成分が入った薬の製造を差し止めるとのことです。 このPPAは国内でも多くの鼻炎や花粉症の内服薬に含まれています。 厚生省では、現段階ですぐ製造差し止めなどの措置はとらないとのことです。 ただし花粉症が重症の際にも、決められた一日量を超えた量を内服することは控えるべきと思われます。 日本薬剤師会Yahoo! Japan News大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)、などで具体的な薬品名などの情報が得られます。

(11月8日) アサヒビールはダニアレルギー対策用の測定器具「ダニスキャン」を一般に発売すると報道されました(11/8毎日)。 これにより家庭のダニの量を、自分で測定することができるようになったものです。 同社のアトピーネット・コムでダニ対策などの情報も一緒に得ることができます。 


(10月21日) 平成13年のスギ・ヒノキ花粉予測の第1報です。

来春の花粉は全国的に多そう 日本気象協会予測」と報道されました(10/21朝日。 「この夏の記録的な猛暑の影響で、来春は全国的に平年の1.5倍から4倍のスギ・ヒノキ花粉が飛びそうだ」とのことです。 また次のようにも書かれています。 「日本 気象協会は昨年までの天候と花粉量の関係をもとに、来年の花粉飛散量を試算し た。東北、関東、中部、中国、四国、九州では平年の1.5―3倍、近畿は1.5―4倍になるとみている。今春は東日本で平年の1.5―4倍、西日本で2-7割と「東高西低型」だった。『現在、各地でスギ林の花芽のつき方を調査中で、12月下旬により精度の高い予報をまとめる』」とのことです。 品川でのスギとヒノキの花粉飛散数の平均値はおよそ2000個/cm2/シーズンですが、4000個/cm2/シーズンも飛散した翌年は1000個/cm2/シーズンを越していないので、来年は例外の年になりそうです


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