2005年の関東地方での傾向と対策#1   2005.2.28


 花粉症対策には過去の飛散状況やその時の症状の出方をイメージし、それに即した対策を続けることが望ましいと思われます。 過去の大量飛散年の状況を思い起こして、適切な対策や行動計画を立ててください。 そのために過去の飛散状況の傾向を分析して示しますので、参考にしてください。 ただし異常気象のために、今年の気象予測も過去の経験が生きないような状況なので、適宜に対応することも必要でしょう。

1.2005年は関東でのスギ・ヒノキ花粉飛散予測

 1)2004年夏の猛暑および2003年の冷夏の影響で、2005年のスギ・ヒノキ花粉飛散数は非常に多いことが予測されています。

 2)これまでに最高の飛散数を観測した1995年とほぼ同程度、またはこれを超えて過去最高になる可能性まであります。

 3)例年以上に十分な花粉回避や、飛散初期からの薬物療法が必要です。

 4)幸いに花粉飛散開始が平年より遅くなっており、治療開始が例年より遅れ気味でも間に合うと考えられます。

 5)ただし十分な対策を講じていても、花粉飛散最盛期には症状の悪化が起こり得ます。 その際には多剤の併用や、より花粉回避の徹底が必要です。 特に500個/cm2/日を超えるような飛散日には、有休を取って室内にこもっていることが勧められます。

図1。品川でのスギ+ヒノキ花粉観測結果と、予測

2.大量飛散年の飛散状況の検証

 1) 1995年、2000年、2001年、2002年、2003年はスギ・ヒノキ花粉飛散数が非常に多くの飛散数を観測しました。 

 2) 飛散数の多かったのは3月上旬から4月上旬でした。 この時期に数日間効果的に花粉回避を行えれば、花粉曝露量は大幅に減少しました。 2月下旬から3月下旬の飛散状況は、他の大量飛散年の飛散状況と大きく異なることはありませんでした。

 3) 1995年は50個/cm2/日以上の「非常に多い」飛散数が観測されたの37日、100個以上が20日、200個以上が9日、300個以上が6日、500個以上が3日と、一日あたりでも過去最高の飛散数を記録しました。 一旦「非常に多い」花粉数が観測され始めると、雨の日以外は「非常に多い」観測日が続く可能性が高いと思われます。

4) スギ花粉飛散数のピークという表現は難しく、飛散数の多い順に並べてみましたところ、3月上旬、中旬、下旬と年によりばらつきました.特に過去最高飛散数を記録した1995年では3月下旬から4月上旬に飛散数が増えています。これはヒノキ花粉数が含まれていることや、その年の気象条件によります。

5) 2005年も3月上旬、中旬、下旬、4月上旬に500個/cm2/日を超える大量飛散日がくる可能性があります。これらの大量飛散日3日の合計飛散数は、大量飛散年ではおよそ25-30%であり,これらの日に効果的に花粉回避が行えば非常に有効なことが期待されます。

表1。 花粉飛散数ベスト3の飛散日

花粉飛散数 のベスト3 ( 大量飛散年 赤字
  #1 #2 #3
1992 3月1日 29 3月10日
1993年 3月25日 3月6日 3月13日
1994年 4月3日 3月11日 3月21日
1995年 3月28日 3月22日 4月1日
1996年 3月16日 3月8日 3月23日
1997年 3月17日 3月7日 3月8日
1998年 3月3日 2月28日 3月13日
1999年 3月16日 3月5日 3月6日
2000年 3月17日 3月7日 3月20日
2001年 3月7日 3月26日 3月19日
2002年 3月1日 3月2日 3月7日
2003年 3月28日 2月26日 3月20日
2004年 3月17日 2月26日 4月9日

図2。品川でのスギ+ヒノキ花粉飛散ベスト3(1992-2004)

表2。品川でのスギ+ヒノキ花粉飛散数ベスト3と、その割合

  #1 #2 #3 3日の合計数の全体に対する 割合
1992 102.2 100.9 81.5 35.4%
1993年 217.9 142.9 139.5 16.0%
1994年 32.4 27.8 19.8 29.0%
1995年 914.2 877.2 553.4 31.5%
1996年 99.0 75.9 63.6 23.0%
1997年 143.2 139.2 111.4 22.6%
1998年 139.5 110.5 86.4 20.7%
1999年 54.0 47.2 41.7 25.1%
2000年 442.0 399.7 367.9 22.6%
2001年 554.9 391.7 315.7 25.9%
2002年 544.7 503.4 490.7 27.4%
2003年 509.9 337.6 318.8 29.4%
2004年 30.6 29.6 26.9 18.9%