リアルタイムの花粉情報 1999.12.28

1.現在の飛散花粉の観測方法
 現在国内の400カ所以上で、スギ花粉などの飛散花粉観測を行っていると考えられますが、一般に入手できるものは100カ所位と思われます。花粉情報の提供には毎日一定時刻のスライドグラスの交換、染色、光学顕微鏡での観察、測定結果の伝達などが必要です。そのためにかかる手間が大きいこと、多くはボランティアで運営されていることなどで、継続して測定することに困難を伴います。そこで将来行政的なバックアップが必要となっていくと思われます。患者さんにとって花粉症対策に有用な花粉情報が、それぞれの地域で十分に入手できるようになることが望まれます。

2.新しい飛散花粉の観測方法
 最近新しい技術を用いて、花粉測定を自動的に行うシステムが開発されつつあります。これは飛散数の測定を、スライドグラス交換や顕微鏡を用いないで、時間ごとに自動的に行うシステムです。これは奥深い山の中での観測を容易にします。花粉計測にあたって、レーザー光線を用い花粉数を数え、パソコンを使用して情報解析と伝達を自動的に行うシステムです。1999年は東京の新宿と文京区、さらに飛散花粉の発生源と考えられる神奈川県の丹沢と高尾でも測定を行っています。都内の飛散状況と、発生源の飛散状況を比較することにより、気象条件と花粉の運ばれ方の関係がより理解されていくものと思われます。それによりリアルタイムで花粉注意警報が提供され、注意や予防がより適切に行えるものと思われます。将来は山手線車内の電光掲示板で、花粉飛散情報がリアルタイムで見られることも夢ではありません。

3.2000年の花粉飛散測定
 2000年春は東京都中央区の聖路加国際病院の屋上庭園に設置し、スギ花粉の飛散観測する予定です。耳鼻科外来のパソコンにリアルタイムで伝達された情報を、このホームページで提供すると共に、どのように患者さんや医療機関に役立つか検討したいと思います。調査を行う際にはよろしくご協力ください。同様のシステムが多摩、相模原、厚木に設置され、観測していく予定です。

4.1999年に行われたMOZIOナビサービス「本日の花粉」 のページ

 携帯電話への花粉情報伝達は1999年春で終了しました。2000年にはこのサービスは予定されていません。

5.室外設置装置
 
屋上ガーデンに百葉箱を置き、その中に設置された自動花粉測定器で花粉飛散数の測定を行います。そこから観測データがコードを伝わってパソコンに送られます。机の上のパソコンで30分毎の花粉飛散数がグラフとなって確認できます。

6.一日の測定花粉数の実例(丹沢と新宿の比較)

 およそ3時間くらいかかって、発生源から都内に花粉が運ばれている可能性が考えられます。