ポートレートセミナー
5、はじめのレンズ選び
登場人物
:達夫・・・撮影歴10年以上のベテラン
:初(はじめ)・・撮影歴数カ月の初心者
達夫:レンズは今は85mmを使っているが、不満は無いかな?
初:今の所不満はないね。
達夫:85mmはポートレートレンズと言って、一番ポートレートを撮りやすいんだ。でも何故レンズ交換するか分かるかな?
初:まず画角が変わるよね。
達夫:そう、焦点距離が長くなると画角が狭くなる。それと何かな?
初:それと望遠になると背景がぼけるよね。
達夫:そう、被写界深度が浅くなる。でも誤解されやすいのが、背景がぼけるのは被写界深度が浅いだけではないんだ。望遠は背景が拡大され、ぼけも拡大されるから大きくなる。
初:ふ〜ん、そうなんだ。
達夫:被写界深度については後で詳しくやるが、もう一つ焦点距離が変わると変化するものが有るんだが、分かるかな?
初:う〜ん・・・。分からない。何だろう?
達夫:それは遠近感だよ。パースペクティブとも言うが。広角は遠近感が強調され、望遠は遠近感が圧縮される。
初:へ〜え、そうなんだ。普段そこまで考えなかったが。
達夫:でも誤解されやすいのが、レンズは基本的に見た目通りの遠近感で写しているんだ。レンズが遠近感を変えているのではない。これを説明すると長くなるし、難しいのでチャンスが有ればその時、説明しよう。
初:なんか難しそうだね。
達夫:それじゃ被写界深度について説明しよう。まず被写界深度を決める要素は何か分かるかな?
初:まずはさっきの話で出た焦点距離だろ。それと絞りかな。
達夫:そうだね。でもあと一つあるんだな。
初:え〜、もう一つ?分からないな。
達夫:撮影距離だよ。
初:あぁそうか。気が付かなかった。
達夫:まず被写界深度とは何かなんだが、本当にピントが合っているのは一点しかないんだ。ピントが合っている前後は、ピントがずれている。ぼけの大きさが画面の対角線の1/1500より小さい範囲を被写界深度と呼んでいるんだ。
被写界深度は、焦点距離の2乗に反比例する。100mmから200mmだと4倍浅くなる。
撮影距離の2乗に正比例する。1mから2mだと4倍深くなる。
絞りのF値に正比例する。F2からF4だと2倍深くなる。分かったかな?
初:う〜ん、分かった様な分からない様な。
達夫:ここら辺はそんなもんだと分かればいいよ。レンズを選ぶ時には、画角の変化、被写界深度の変化、遠近感の変化を考慮するんだ。
初:具体的にどうするのかな?
達夫:例えば全身でぼかしたいなら、200mm以上の望遠を使い絞りを開放にする。逆にスナップ風に背景にピントを合わせたいなら、広角を使って絞り込む。
初:ここら辺は分かりやすいね。
達夫:あと広角は歪みやすいので、アングルなどに注意しないとね。最初の内は望遠を使った方が無難だね。
初:とりあえずは85mmでいいんだね。
達夫:不満が出て来たら、徐々に他のレンズも使えばいいよ。次は露出について話をしよう。