ポートレートセミナー
6、はじめの露出
登場人物
:達夫・・・撮影歴10年以上のベテラン
:初(はじめ)・・撮影歴数カ月の初心者
達夫:露出についてなんだが、今は露出モードは何にしている?
初:絞り優先オートだよ。それにプラス1段露出補正している。
達夫:フィルムはネガだったっけ。
初:うん、そうだよ。リバーサルは露出が難しいんでしょ。
達夫:確かにネガと違って、撮影時の露出で殆ど決まってしまうからね。ネガだったらプリントでなんとかなるけれどね。
初:ネガの場合の露出はどうすればいいのかな?
達夫:基本はオーバー気味だね。粒子も細かくなるし、発色も良くなる。特に感度の高いフィルムは、実効感度が低いからオーバー気味にする。
初:リバーサルの場合だったらどうするの?
達夫:基本は適正なんだが、ポートレートならオーバー気味だね。プラス1段くらいが目安だね。
初:と言う事は、絞り優先でプラス1EVにすればいいんだね。
達夫:内蔵ならそういう事になるね。
初:内蔵ならと言う事は、外部の露出計が有るの?
達夫:単体露出計も有るんだよ。
初:なんでそんなのが必要なの?露出計はカメラに内蔵されているから、必要ないんじゃないの?
達夫:今でも内蔵されてないカメラも有るよ。大判カメラなら内蔵されてない。
ここで露出計について話そう。まず露出計には、入射光式と反射光式が有るんだ。カメラに内蔵されているのがどっちか分かるかな?
初:反射した光を測るのが反射光式でしょう?だったら反射光式でしょう。
達夫:正解。
初:でも入射光式の意味が分からない。どういう時に使うの?
達夫:入射光式とは、被写体に当たっている光を測るんだ。反射光だと被写体の反射率に影響されて、正しい露出が分かりにくいんだ。反射光式は反射率が18%と仮定して測っているので、白でも黒でもグレーになってしまう。入射光式だと被写体に当たっている光を測るので、被写体の色に影響されないからね。
初:それなら入射光式だけ有ればいい気がするが。
達夫:でも風景など被写体が遠くに有る場合は、入射光式では測れないからね。この時は反射光式でないと。それに被写体の輝度差を測るには、スポットメーターの方が測りやすい。スポットメーターは内蔵も有るが、単体も有るんだよ。
初:内蔵と単体とどう違うの。内蔵の方が便利だよね。
達夫:単体だと測る範囲が狭いんだ。単体だと角度が1度の物も有る。狭い方が正確に測れるからね。それに輝度差が大きくても測れるし。ストロボをスポットで測れる機種も有るから、遠くからでも確認出来るのが便利だよ。
初:内蔵ではスポットでストロボまでは測れないね。輝度差も表示されない機種も有るし。
達夫:でも内蔵も便利だよ。測ったらそのままの露出で撮れる訳だから。内蔵露出計の測光方式にはどんな種類が有るか知っているかな?
初:まずは平均測光、中央部重点測光、スポット測光、分割測光かな。
達夫:おおまかに分けるとそんな感じかな。ポートレートに向いているのはどれかな?
初:ネガなら分割測光でもいいかな。リバーサルならスポットでしょう。
達夫:ネガなら分割測光か、中央部重点測光のAEロックでプラス1EV補正だね。リバーサルならマニュアルモードにして、スポット測光で顔を測り、やはりプラス1EV程度補正だね。
初:リバーサルは分割測光では駄目なのかな?
達夫:やはり分割測光では正確な露出が分かりにくい。背景や服の色に影響されてしまうからね。
初:厳密に測るにはやはりスポットなんだね。
達夫:スポットも慣れてしまえば簡単だよ。次回は絞りについて話そう。