ポートレートセミナー

10、はじめのフィルム

登場人物

達夫・・・撮影歴10年以上のベテラン

(はじめ)・・撮影歴数カ月の初心者

達夫:今回はフィルムについてだね。今フィルムは何を使っているのかな?

: 大体ネガを使って、たまにリバーサルを使っているよ。

達夫:ネガを使えば露出の失敗は少ないだろうが、リバーサルを使ってみてどうかな?

:やはりばらつきが有るよ。

達夫:そうだね。ネガはプリントの時に調整が可能だが、リバーサルは撮影時の時の露出がそのまま反映されてしまうから難しいね。

:何故難しいリバーサルを使うのかな?ネガなら失敗は少ないのに。

達夫:プロは殆どリバーサルを使うよね。何故かと言うと、まずは色なんだな。ネガだとプリントの時に変わってしまうだろう。だから自分の表現したい色や忠実な色をプリントするのが難しいんだ。

:そう言えば同時プリントと焼き増しでは、色が変わってしまう事が有るね。

達夫:それと露出もだね。意図的にアンダーやオーバーにしたいのに、ネガではプリントの時に補正されてしまうからね。特にアンダーのネガだとコントラストが低くなるので、締まりのない写真になってしまう。

:ああそうか。ポートレートならオーバーの方が綺麗になるしね。ネガだとそういう表現が出来にくい訳だ。

達夫:もちろんプリントの時に指示すればいいんだが、1枚1枚細かく指示するより、撮影時に決定した方が楽な訳だ。

:だからプロはリバーサルを好むんだね。

達夫:あとは印刷の時も、リバーサルの方がやりやすいと言う事も理由の一つだね。ネガからだとまずプリントしないと駄目だしね。

:プロやベテランはフィルムをどうやって選んでいるのかな?

達夫:まず目的を決める事だね。記念写真みたいにプリントを前提としていれば、ネガを使う。写真館ではネガを使っているからね。

:プロだからと言って、リバーサルだけを使う訳ではないんだね。

達夫:印刷を前提にしていれば、やはりリバーサルだね。

:あとは作品作りにもリバーサルかな?

達夫:ベテランになると露出のコントロールは出来るから、自分の意図した露出を得る為にリバーサルを好むんだね。

:でもどうやって結果を予測するのかな。

達夫:これは経験が必要だね。フィルムによってもラチチュードが違うから、何回も撮影してその経験から結果が分かるんだ。それには正確な測光をして、適切な露出を得る事が必要なんだな。

:露出はスポット測光や単体露出計を使うのがいいんだろうね。

達夫:ポートレートなら顔をスポットで測るのがいいね。撮影会でも有効だ。個人でゆっくり撮れるなら、入射光式の単体露出計を使ってもいい。

:これからはスポットを使ってみよう。他にフィルム選びの注意点て有るのかな?

達夫:リバーサルにはデイライトタイプとタングステンタイプが有るんだ。日中やストロボを使うならデイライトタイプ、写真電球を使うならタングステンタイプを使うんだ。写真電球でもブルーランプはデイライトでもいいがね。

:日中にタングステンフィルムを使うと、どうなってしまうのかな?

達夫:ブルーになってしまう。この効果を狙って、わざと使う事も有るんだが。この逆も有る。デイライトフィルムを使って、写真電球を使う。この時は赤っぽくなるんだね。暖かみや雰囲気の有る写真になる。

:あとネガを使って有効な時って有るかな。

達夫:撮影後に色々遊べるのがいい。プリントの時に色を変えれば、夕焼けの写真だって簡単に出来てしまう。他に最近はやっているのがセピアだね。モノクロフィルムでもカラープリントの時に色を付けられる。セピアにすればノスタルジックな写真になってしまう。写真によってはブルーとか色々な色も付けられるしね。

:モノクロのいい所って何なのかな?

達夫:自分でプリント出来る所かな。カラーだと色の調整が難しかったりするが、モノクロなら初心者でもプリントしやすい。自分の好みの明るさやコントラストに出来るし、値段も安いし。

:今度モノクロもやってみようかな。

達夫:じゃあ今度はモノクロの話をしよう。


    


      INDEX