ポートレートセミナー

17、はじめのストロボ

登場人物

達夫・・・撮影歴10年以上のベテラン

(はじめ)・・撮影歴数カ月の初心者

達夫:今回はストロボについてだね。初はストロボを持っていたっけ?

: EOS-5の内蔵ストロボなら有るよ。

達夫:外付けのは無いんだ。

: 内蔵だけでは駄目なのかな?

達夫:本格的にやるなら、やっぱり外付けが欲しいね。

: 内蔵と外付けだと何が違うの?

達夫:まず発光量が外付けの方が大きい。と言う事は、遠くまで光が届くんだ。

:例えばバストショットなら良くても、全身なら光量が足りなくなるのかな?

達夫:そう思ってもらっていいね。F値にも寄るが、撮影距離が長くなるほど不足しやすい。
あと気を付けなければならないのが、フードを使ったり、大口径レンズだとストロボ光が蹴られてしまう事が有るんだ。広角になるほど蹴られやすい。

: 本格的に撮るには外付けがいいんだね。具体的にどれを選べばいいのかな?

達夫:まず買うなら540EZがいいだろう。光量も大きいし、外部電源も使える。それにAF補助光も5点測距に対応しているし。

: 外部電源って?

達夫:ストロボは電池の消耗が激しいんだ。だから外部電源を付けて、電池を長持ちさせ、チャージを早くするんだ。

: 充電が遅いといらいらするよね。

達夫:ポートレートはシャッターチャンスが命だから、チャージを待ってられないね。

:外部電源には、どんな種類が有るの?

達夫:積層パックとトランジスターパック、コンパクトバッテリーパックの3種類ある。
積層パックは、その名のごとく積層電池を使っている。
トランジスターパックには電源が2種類あり、ニッカドと、単2を6本使うバッテリーマガジンだ。
コンパクトバッテリーパックは、単3を6本使う。

: それぞれの特長は?

達夫:積層は電池の値段が高いから、あまり経済的ではないね。これはプロが愛用しているね。

: それじゃトランジスターパックは?

達夫:これは電源を選べるんだ。専用のニッカドバッテリーか、単2を6本使うかなんだ。

:どっちの方がいいの?

達夫:経済的にはニッカドがいいが、予備が無いと不安だから両方有った方がいいね。

: 単2電池にニッカド電池を使えば、更に経済的だね。

達夫:最近はニッケル水素電池も有るから、これから買うならニッケル水素でもいい。

: コンパクトバッテリーパックはどうなの?

達夫:単3が6本だから、小さくて軽いんだ。これもニッケル水素電池を使えば経済的だね。

: 結局どれがいいの?

達夫:最初買うなら、コンパクトバッテリーパックがお勧めだね。TTLオートで撮るならこれでも十分だね。
暗い場所で大量に撮る必要性が出てきたら、トランジスターパックを買えばいい。
積層は最初買うのはやめた方がいい。

:とりあえずコンパクトバッテリーパックを買ってみよう。

具体的にポートレートにストロボを使う場面って、どんな場面かな?

達夫:ストロボを使う場面って、普通に考えると室内や夜なんだが、日中の屋外でも有効なんだ。

: 日中シンクロっていうやつ?

達夫:そうなんだ。晴れていてレフが使えれば必要無いが、レフが無い時や、曇りの時にも有効だ。

: どんな所に注意すればいいのかな?

達夫:調光補正をマイナスにした方がいいね。バストショットならマイナス1EVが目安だね。全身で背景が暗ければ、マイナス2EVくらいかな。

: 何でマイナスなの?

達夫:あくまでもストロボは補助光なんだ。だから少し弱めに当てるのがこつだね。

:この場合、定常光の露出ってどうするの?ストロボの分明るくなるんだから、その分暗めにするのかな?

達夫:TTLオートは被写体の反射光を測っている訳だ。要するにストロボ光も定常光も一緒に測っている。日中シンクロの場合、回りが明るいだろう。だから自動的にストロボ光は押さえ気味になるんだ。厳密に言えば定常光を少し暗めにするんだろうが、そんなに気にしなくてもいいよ。

: 調光補正量はどうやって決めればいいの?

達夫:服の色や背景の色や明るさに影響されるから、白や明るい時は補正量をプラスにして、黒や暗い時はマイナスにする。

この場合、背景が暗いから、人物が少しオーバーになったね。こういう場合は、マイナスにするって事だね。

: 発光量を確認する方法って有るのかな?

達夫:フラッシュメーターを使うのがいいね。特にミノルタのフラッシュメーター4や5は、定常光とストロボ光の比率も分かるしね。
あとはポラを使って確認する。

: 他に気を付ける事って有る?

達夫:縦位置にした時に、横に影が出る事があるから気を付けよう。

: どうすれば防げるの?

達夫:一番いいのは縦位置でもレンズの光軸と同じに出来るアクセサリーも有るから、それを使えばいい。ケンコーだとクイックフィクサーと言うアクセサリーだ。

: 無い場合はどうするの?

達夫:ディフューズすれば少し影が弱くなる。

: ディフューズする為にはどうするの?

達夫:よく使われているのは、ルミクエストだね。他にも色々有るから試してみるといいね。

: 他に気を付ける事は?

達夫:シャッタースピードだね。夕暮れ時とかでストロボ使うからって高速を使うと、背景が夜みたいになってしまう。背景の明るさが暗い時には、背景の露出も確認する必要がある。

: あとストロボと言うと、スタジオとかに大型のストロボが有るよね。ああいうストロボの場合、どうやって露出を決めるの?

達夫:フラッシュメーターを使うのが一般的だね。最終的にポラで確認する。

: スタジオだとよく傘とか使っているよね。やはり使った方がいいのかな?

達夫:使う目的は、もちろん光を柔らかくする為なんだが、拡散する目的も有るんだ。全身とかを撮る時、拡散させた方が、明るさのばらつきが少なくなる。

:顔は明るくても、足が暗くなったりするんだね。

達夫:そうなんだ。
あとスタジオでやる時の注意は、露出オートは使わない事だね。

: もちろんTTLオートは使えないか。

達夫:大型ストロボでTTLオートはもちろん使えないが、それだけじゃ無く、自動露出を使ってはいけないんだ。

: マニュアルモードを使うの?

達夫:そう。何故オートが駄目かと言うと、普通はモデリングランプしか明かりが無いから、その明るさで露出を決めてしまうんだ。
モデリングランプとは、ライティングをチェックするための電球の事。
ストロボの場合、適正露出はシャッタースピードに関係なく、絞りで決まるんだ。

: と言う事は、オートだとシャッタースピードが凄く遅くなってしまうのかな?

達夫:例えば絞りがF5.6としたら、1秒くらいにはなってしまうだろう。

: 1秒だと振れ振れになってしまうね。

達夫:だからシャッタースピードを固定出来るカメラが必要なんだ。

: シャッタースピードはどの位にするの?

達夫:1/60秒が無難だね。

: 1/250秒とかだといけないの?

達夫:大型ストロボの場合、小型に比べて発光している時間が長いんだ。だから少し長い方がいい。

:さっき露出はシャッタースピードに関係ないと言っていたが、何故なの?日中シンクロの場合、影響していた筈だが。

達夫:まったく関係が無い訳では無い。撮り方に寄るね。

: 撮り方って?

達夫:普通スタジオでは、ストロボ光のみで撮るんだ。モデリングランプの明かりもあるが、ストロボ光が大きい為、モデリングランプの明かりは、実際の撮影では影響しない。この場合露出は絞りのみで決める。

: シャッタースピードが関係する撮り方は?

達夫:タングステン光を活かして撮る撮り方だね。ストロボの光量を落として、シャッタースピードを遅くするんだ。

: タングステン光を使うって事は、赤っぽくなるのかな?でもどうやって適正露出を測るの?

達夫:普通のフラッシュメーターだと、定常光とストロボのバランスまでは測れないんだ。ミノルタのフラッシュメーター4や5だと、アナライズ機能と言って、定常光とストロボ光を分割して測れるから、バランスがチェック出来るんだ。

: これは日中シンクロに似ているね。

達夫:まさしくその通り。ハウススタジオとかで外光が入り込む時に、このやり方でやればいいんだ。

: 明るいスタジオなら、540EZのTTLオートでやってもいいんじゃないかな。

達夫:そうだね。いずれにせよ、経験を積む事が一番だね。

次はフィルターについてやろう。


    


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