ポートレートセミナー

19、はじめのフィルター・2

登場人物

達夫・・・撮影歴10年以上のベテラン

(はじめ)・・撮影歴数カ月の初心者

達夫:今回はカラーフィルターについてだね。
フィルターを知る為には、光や色について知らないと駄目だね。

: 光とは電波で、波長が400〜700nm(ナノメートル)だよね。

達夫:色は短い方から、紫、青、緑、黄、橙、赤の順だね。
でも光だけでは、色にならないんだよ。

: 光だけでは目に見えないって事かな?

達夫:色は物に光が当たり、反射する時に特定の波長を吸収して、残りの波長が反射するから色になる。

: 光と色の違いが分かりにくいんだが。確か色の三原色と、光の三原色って言うのが有るよね。

達夫:色の三原色は、反射した時の三原色だね。
光の三原色は、発光している場合の三原色となるんだ。
色の三原色は、イエロー、マゼンダ、シアンだね。
光の三原色は、赤、青、緑だ。

パソコンで言えば、プリンターは色の三原色を使う。
ディスプレイは、光の三原色を使っている。

:でも3色だけで、色が再現出来るの?

達夫:それじゃ具体的に説明しよう。
白=W、赤=R、緑=G、青=B、黄=Y、マゼンダ=M、シアン=C、黒=BLとして説明しよう。

W=R+G+B
B=W-R-G=M+C
G=W-R-B=Y+C
R=W-G-B=Y+M
Y=W-B=G+R
M=W-G=R+B
C=W-R=G+B
BL=W-R-G-B=C+M+Y

となるんだ。

: これだと分かりにくいね。

達夫:もう少し具体的に話をしよう。
まず赤と緑と青のスポットライトがあるとしよう。
この3色を合わせると、白になる。
赤と緑を合わせると、イエローになる。
赤と青だと、マゼンダになる。
緑と青だと、シアンになる。
これは光の三原色の場合だね。

色の三原色の場合、イエローとマゼンダとシアンの絵具が有るとしよう。
マゼンダとシアンを混ぜると、青になる。
イエローとシアンを混ぜると、緑になる。
マゼンダとイエローを混ぜると、赤になる。
色の三原色を混ぜると、理論上黒になる。

: これなら少し分かりやすいね。でもこれがどう役に立つのかな?

達夫:色を正しく理解するのに必要だね。
例えば曇りで青みを除去するのに、マゼンダフィルターを使うのは正しくない。マゼンダは赤と青の混合色だから、赤や黄を使うのがいいね。

前に補色についてやったんだが、覚えているかな?

: もう忘れたね。

達夫:補色、又は反対色は相反する色で、補色と合わせると白か黒になる。
赤とシアン、青とイエロー、緑とマゼンダが補色の関係になる。

:補色を知ると、どう役に立つの?

達夫:色を補正する時は、補色を使うんだ。さっき青みを補正するのは、赤や黄と言ったよね。青の補色は黄だから、黄色のフィルターを使うのが効果的だね。

R,G,B,C,M,YのフィルターはCCフィルターと言うんだが、曇りの青み除去や、夕焼けの赤味を除去するフィルターは、LBフィルターなんだ。
LBAはアンバーで、青みを除去する。
LBBはブルーで、赤味を除去する。

: と言う事は、曇りの時はLBAなんだね。

達夫:実際使う時は、曇りならLBA2〜4を使うといい。

: 2〜4ってどういう意味?

達夫:これはミレッド値と言うんだ。
LBA2ならミレッド値は、+20なんだ。
LBB12ならミレッド値は、-120となる。

:この補正量は、どうやって決めるの?

達夫:まずミレッド値の計算公式が有るが、これは覚えなくてもいいだろう。
例えば3200度K(ケルビン)のミレッド値は、313
5500度Kのミレッド値は、182となる。
デイライトフィルム(5500度K)を使っていて、タングステン光(3200度K)で撮る場合、182-313で、-131となる。と言う事は、LBB12でほぼ補正される。

: 何故ミレッド値を使うの?

達夫:例えば3000度Kと5000度Kを1000度K補正しようとすると、補正するフィルターは同じでは無いんだ。

: と言う事は、補正量を分かりやすくする為に、ミレッド値が使われるんだね。

達夫:その通り。ミレッド値が分かれば、補正量も分かる。
参考までにミレッド値を書いてみよう。
3000度は333ミレッド
4000度は250
5000度は200
6000度は167
7000度は143
となる。

CCフィルターで、30Mとかの数字の意味は分かるかな?

: まったく分からない。

達夫:この数字は、濃度を表しているんだ。
例えばマゼンダは、赤と青を透過して、緑をカットしているんだが、この濃度差を数字にしている。30Mなら、濃度差が0.3と言う意味だ。

:この濃度って何?

達夫:ちょっと難しいね。難しく言うと、常用対数が使われている。
濃度=log露出倍数、となる。
例えば濃度が1だとすると、露出が10倍違う。要するに10%しか光を通さないと言う意味だ。
濃度 露出倍数
0.1 1.25
0.2 1.5
0.3 2
0.4 2.5
0.5 3
0.6 4
0.7 5
0.8 6
0.9 8
1 10

表を見て分かるが、濃度が0.3だと露出倍数が2倍違う。

: と言う事は、緑の透過率が50%になるのかな?

達夫:そうだね。緑を半分にしたのが、30Mになる。

ちなみにNDフィルターも濃度で表示されているんで、上の表を参考にするといいね。NDフィルターとは、全ての色を均等に減らすフィルターなんだ。

: でも、ちょっと難しいね。

達夫:いっぺんに全てを覚えなくてもいいよ。徐々に覚えていけばいい。

次回は実践的な使い方についてやろう。


    


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