Lucifer Rising

ツェッペリンとの関係で言えば、この「ルシファー・ライジング」は、実は、ほぼ無関係と言ってもいいくらいのものです。しかし、たびたび話題に上り、いろんな誤解もあることから、ここに取り上げようと思いました。
まずは、「ルシファー・ライジング」とは何か、を簡単に説明します。これはケネス・アンガーという映画監督により、おおよそ1970年から80年にかけて作られた映画で、「マジック・ランタン・サイクル」というシリーズでビデオ化もされており、そのVOL. 4に収録されています。セリフもないので、映像から受ける印象だけですが「何やらおどろおどろしく、次々に繰り出されるイメージは気持ち悪く、非常に怪しいが意味はよくわからない」というくらいが、私自身の感想です。ルシファー(これは一般的に、天から落ちた傲慢な大天使で、サタンと同一視されるらしい)を、魔王ではなく「光の運搬人」ととらえ、その復活のセレモニーを描いた作品ということで、アレイスター・クロウリーに捧げられているということです(まあ、こんな説明をしても見ていない人にはほとんど理解不能と思われますが)。また、リリスの役で登場しているマリアンヌ・フェイスフルが「ヘロインを吸って3回観なければ理解できない」という、これまた意味不明なコメントを残していることからも、どんなものかは大体想像がつくかもしれません。この映画の完成までには、フィルムの盗難や、キャスト変更、資金繰りの問題などがあり、さまざまなヴァージョンも作られたということです。
さて、ツェッペリンとの関係ですが、実際はジミー・ペイジとの関係ということになります。ジミー・ペイジは当時、この映画のサントラを引き受けたのですが、それがいつまでたっても完成せず、業を煮やしたケネス・アンガーから首にされてしまったといういきさつがあったのです。当時、ジミー・ペイジは黒魔術に傾倒しており(それがどの程度深いものだったのかどうかは不明ですが)、ネス湖のほとりにあるクロウリーの別荘を買い取り住んでいたほどだったので、この映画の音楽をやりたいと思うのもさほど不思議なことではないでしょう。しかし、結局音楽は完成せず、ジミー・ペイジではなく別の人が音楽を担当しました。その人は「ボビー・ボーソレイユ」といい、1969年に起こった「シャロン・テート(映画監督ロマン・ポランスキーの妻で、映画女優)殺人事件」で、チャールズ・マンソンの弟子として、犯行の中心だった人です。この事件により死刑囚となったボビー・ボーソレイユは当然刑務所に入っているわけで、このサントラの録音も刑務所内で行われたという事です。ケネス・アンガーは当時、「悪魔教会」というものをやっていて、このボビー・ボーソレイユもかつてそれに参加していたことがあったということです(だんだん怖い話になってきた)。そして、ジミー・ペイジ自身もこの映画のキャストとして参加しています。役どころは「スケープ・ゴート」ということで、髭を生やしたジミーの横顔を見ることが出来ます(髭ということは、多分このシーンは70〜71年に撮影されたのでしょう)。
といったところが、この映画にまつわる大まかな話です。そういったことから、先に言った、ジミー・ペイジがこのサントラを担当しているという誤解も依然として残っていて(つまり、オフィシャルに担当したと言う意味)、私自身もしばらくそう思っていました。誤解の原因の一つとして、ブートレッグがあります。オフィシャル・ビデオから落とした音源が、つまりボビー・ボーソレイユの作ったバージョンが「JIMMY PAGE / LUCUFER RISING」というブートレッグでかつてリリースされたことがあったのです。つまり、オフィシャルな音源を収めたブートが、これはジミー・ペイジの作ったものですよ、という形で出たのです。もちろん、一度聞けばその音楽はジミー・ペイジのスタイルとは似ても似つかないものだということはわかると思いますが。

さて、このコーナーの肝ですが、結局映画で使われることはなかったものの、ジミー・ペイジが作った「ルシファー・ライジング」も存在します。聞いて貰えれば、これぞジミー・ペイジの音楽だということがわかりますが、いまだ未発表になっているものです。これが作品に使われていればどれほど映画の印象が変わったことかと思いますが、まあ何と言ってもこれらは宙に浮いたままの曲で、おまけに未完成ですから、どうのこうの言うのも不当なことです。あくまで「ルシファー・ライジング」にまつわる事実と言うことです。

Poster for Lucifer Rising

Designed by Rick Griffin (1967)


リック・グリフィンのイラストによるポスター。
映画が作られる以前に作られたもので、1967年の作品です。
つまりこの頃から映画の構想が練られていた事になりますが、
詳しいことはわかりません。



-VIDEO-
Lucifer Rising/
Invocation of My Demon Brother

Magick Lantern Cycle Vol. 4
mystic fire video (M106 VHS)
(C)1986 Kenneth Anger and Mystic Fire Video Inc.


オフィシャル版ビデオのジャケット。


-BOOTLEG CD-
Jimmy Page/Lucifer Rising


これが全ての誤解の元か?このブートに収められているのは
オフィシャルの「ボビー・ボーソレイユ」バージョンのサントラで、
ジミー・ペイジが作ったものではありません。



さて、右のプレイヤーでジミー・ペイジが作ったものの、結局使われることのなかった「ルシファー・ライジング」のための音楽の一部が聞けます。まずは、仮に "LUCIFER RISING - 1" としている曲ですが、過去にアナログ・ブート化されているようです。この音源がオフィシャル・ビデオの映像の上にアフレコされた状態のものを入手する事が出来、それで初めてこのバージョンも聞くことができました(Thanks YAS)。聞いてもらえればわかるように、音楽と言うより効果音に近いものです。マントラに重なるように聞こえてくるヴァイオリン・ボウのような響きはまさにジミーのものでしょう。
(追記)今回、さらに良い音源を手に入れることができましたので改めて聴いてください。この音で聴くと完成度は結構高いものであったことがわかります(Thanks HIRO)。最初の2分半と中間部の4分ほどです(音質のクオリティはオリジナルよりも落としています)。

そして "LUCIFER RISING - 2" は、「ルシファー・ライジング・アウトテイク」と言われているものです(しかし全てが公式には未発表なので、アウトテイクといえば全てがアウトテイクスといえるのですが)。こちらもなかなかの完成度です。まあ、サントラとはそもそも映像との関わりで存在するものであり、ましてや使われなかったものとなれば、評価のしようもありません。しかし、「ジミー・ペイジが作った音楽」として聞けば、とても興味深い作品です。

Lucifer Rising "J.Page Version - 1 & 2"


これらの曲は公式なものではありません。
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Last updated on May 22, 2003

大西正範--pennywiz@tky.3web.ne.jp--