1986年、SAFE SEXというバンドとともにジミーがライブを行いました。会場はスペインのIbiza島にある「ハートブレイク・ホテル」というナイトクラブ。このクラブは当時、フィル・カーソン（アトランティック・レコードの人。ツェッペリン担当であったらしく、よくツェッペリンのライブに飛び入りしてベースを弾いたというエピソードが有名）が所有していたもので、その関係でこのクラブにジミーが出演することになったのだろうと思います。
　今回、当時このコンサートのポスターを制作したマークというイギリスのグラフィック・デザイナーからメールをいただきました。彼はこのライブの写真も撮っていたということで、このコンサートにまつわる話と写真を紹介します。まずは唯一の情報源だった、かつて出たブートの音源から。曲目はリストを見るとわかるように、ロックンロールのクラシックを中心にしたジャム・セッションの色合いが強いものです。ジミーはこの年の５月にファームを解散したばかりで、ファーム時代にアンコールで演っていた「I Just Wanna Make Love To You」や「Money」もやっています。「ルシール」ではフィル・カーソンがベースを弾いているようで、「Heartbreak Hotel」も演っているのはこのクラブにちなんだものでしょう。メンバーはジミーとジェイソン・ボーナム以外にマイク・トンプソン（Vo）、デニス・レ・ベース（Ba）で、地元のミュージシャンでしょうか。ジミーのギターはトーンベンダー付テレキャスターで、これは写真でも確認できます。「White Summer」は音質からいつものダンエレクトロを使っていると思われます。
　右上のポスターはマイクが当時依頼されて制作したのものです。これにまつわる興味深い話が聞けました。まず、ここに使用されているジミーの写真は「Arms Concert」のアメリカ・ツアーの時のもの（ブート・ビデオでも出ているのでおそらく間違いないと思われます）。しかしこのポスターはジミーのリクエストで作り直されたもので、実はこの前にボツにされたバージョンがあったのです。このボツバージョンには79年の「Knebworth」のものが使われていました。それはフィル・カーソンの奥さんのジェニー・カーソンからポスターに使うようにと最初に届いた写真だったそうですが、この写真で作った一作目のポスターはジミーが気に入らずにボツにされたそうです。理由は２つあり、一つは自分の名前よりも「SAFE SEX」という文字を大きくしてほしいということ、もう一つは大汗をかいた自分の写真が気に入らなかったということです（マークはその写真自体、全然ＯＫだと思っていたらしいですが）。とにかくそういった理由で、急遽作り直しをしなければならなくなり、再びロンドンのジェニーから違う写真が送られて来たときには入稿の〆切まで２時間しかなく、パニックになったということです。ちなみになぜ「SAFE SEX」というバンド名なんだろう？　と彼に聞きましたが、はっきりとはわからないけど当時はエイズが世の中で有名になりだした頃で、多分その辺から来ているのではということで、なるほどそうかも知れません。彼はカラー写真も撮っていたらしいのですが行方不明らしいです。それらが出てくるのも楽しみにしてます。
　余談として、スペインのIbiza島にはロバートも時々来ていたらしく、プロモーション・ビデオも撮影したことがあったらしいです（彼の記憶ではこのライブの前年のことで「Sea of Love」の撮影だったということですが、さだかではありません。時期的にも、そして映像的にも合っているのではと思われますが・・）。その際、彼もいくつかアイデアを提供したらしく、それに対していくらかの報酬をもらったことは覚えているということです。そこでのロバートは彼に対して「real gentleman」だったということは強調していました。Ibiza島は当時のジミーとロバートにとって馴染み深い場所だったようです。
　今回、こういった貴重な資料が出てきたのは嬉しい限りです。Thanks MARK!!

ボツにされたという最初のポスター

-BOOTLEG CD-
Jimmy Page with Safe Sex

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