「松韻」
人の一生より遥かに永く、遥かに厳しく、何を見てきたのだろう。
一見、淡々と繰り返される偽りのない命の営みが、私を励まし、律してくれる。
松そのものは、誰かを癒そうとか励まそうとか少しも思ってはいない。
今、を生きる者として、ただ一つの嘘もなく天を目指して伸びたっているだけだ。
けれども彼らの、精一杯生きたいと願う心を肌で感じ、自分もそう在りたいと願うのだ。




2005年4月21日〜26日
日本橋高島屋8F
池坊専永家元継承60年記念 いけばなの根源 池坊展 立花その流れと今日


専永宗匠と同じ3メートルの花席で、同じテーマを競うというかつてない企画の池坊展。
この大変大きな規模の花展で、二度とない貴重な経験をさせていただきました。
この場を借りて、宗匠と、主催の池坊華道会に、お礼を言わせていただきます。

課題は「松」  立花がたてはなと呼ばれたころから、松は日本人のこころの拠りどころとなっていました。
そのことは展覧会場の構成でもはっきりと歴史を踏まえて一部として展示していました。
松だからといって、その幹はただやたらとグニャグニャ曲がっているわけではありません。
障害さえなければほかの草木と同じに真っ直ぐに太陽を目指すのでしょう。
この作品は、現実の松というよりも自分の理想を松に演じさせ、色を抑えた演出の中に
水墨画のように定着させようとしましたが、見ていただいた方の評価を待つばかりです。