福永武彦研究『夢のように』(C)1998 Yuichi Toyokura


〜資料室〜

美しい柳川を本で味わう

 柳川を描いた文学作品といえば、まず、北原白秋の歌や詩が思い浮かぶ。

   柳河は城を三めぐり 七めぐり

   水めぐらしぬ咲く花蓮(ハナハチス)

 という城堀を歌ったものや、

   ほうつほうつと螢が飛ぶ…
   しとやかな柳河の水路を、

 と堀の清流な水をたたえた詩の一節など、映画の中でも、いくつか紹介されている。
 また、北原白秋の詩集『おもひで』の序文から題名をとった『廃市』という福永武彦の小説は、舞台を゛ある町゛という架空の町としながらも、柳川を思わせる運河が縦横に走る水の町を幻想的に描いていて、美しい短編だ。これは、'83年に大林宣彦監督の手で映画化され、「何という古びた美しい町」と小説の中で語られたふんい気を、見事に映像化し、話題を呼んだ。

宮崎 駿製作 映画『柳川堀割物語』パンフレット (アニメージュ S.62.5月号より転載)

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