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ネモフィラ属


このサイトで紹介している種・変種

マクラタ メンジージー メンジージー・アトマリア  
マクラタ
maculata
メンジージー[ルリカラクサ]
menziesii
メンジージー・アトマリア
menziesii var. atomaria
 

ハゼリソウ科Hydrophyllaceae
学名Nemophila Nutt.
和名ルリカラクサ属
英名nemophila
分布北アメリカの西部、南東部
種数11種か18種(資料によって異なります)
属名の性別女性
属名の由来 ギリシャ語の「nemos(森)+ philos(愛する)」に由来し、この属の中のある種の自生地に因む。
メモ

科について
 属のページで科の説明をするのは違和感がありますが、現時点で科の説明を作る予定がないので、ここで取り上げます。

 Pemberton氏らの文献で、ネモフィラ・マクラタが、Hydrophyllaceae(ハゼリソウ科)ではなく、Boraginaceae(ムラサキ科)(より正確には、ハゼリソウ科を含めたムラサキ科)とされていたので、どのようなことなのか、調べてみました。
 直接の答えになるかどうか分かりませんが、Ferguson氏の文献によると、葉緑体遺伝子の一つである ndhFDNA配列を調べたところ、Hydrolea属とCodon属を除くハゼリソウ科植物は、広義のムラサキ科に含まれることが明らかになったそうです。参考までに、クロンキストの分類体系では、ムラサキ科はシソ目、ハゼリソウ科はナス目に含まれ、新エングラーの分類体系では、ムラサキ科もハゼリソウ科もシソ目に含まれます。
 ついでですが、クロンキストの分類体系や新エングラーの分類体系には存在しませんが、Boraginales(ムラサキ目)が存在するそうです(どのような分類法に含まれているかは不明)。ムラサキ目には、Boraginaceae s. str.(狭義のムラサキ科。広義のムラサキ科からどんな属や種が抜けているかは不明)、Hydrophyllaceae(ハゼリソウ科)、Heliotropiaceae(ニオイムラサキ科)、Ehretiaceae(チシャノキ科)、Cordiaceae(イヌジシャ科)、Lennoaceae(レンノア科)が含まれるそうです(和名は「学術用語集・植物学編」に従いました。聞いたことがない科があるかと思いますが、学名をGoogleで検索すると、海外のページならヒットします)。これらの科のITS1領域の転写産物の二次構造について調べたところ、狭義のムラサキ科は、それ以外の科によって作られるクレード(clade;共通の祖先から進化した生物のグループ)と姉妹群の関係であることが分かったそうです。


形態・生態・栽培など
 一年草です。有毛、あるいは、無毛です。茎は多肉質で、折れやすいです。羽状中裂の葉が、対生か互生しています。花は腋生で花柄があり、普通、単生しますが、花序を作ることもあるそうです。萼は基部近くまで切れ込みが入って5裂しています。萼の裂片の間には開帳〜反り返った付属物があるそうですが、退化していることがあるそうです。花冠は鐘型〜車輪状で、5裂しています。雄しべは5本あります。柱頭は二裂しています(分かり難いかもしれませんが、ネモフィラ・メンジージー・アトマリアの写真をご覧下さい)。果実は有毛の刮ハです。
 栽培ですが、繁殖は実生で行います。春播きしても、秋播きしても育ちますが、耐寒性があり(−3℃程まで)、夏の高温多湿に弱いために、一般に秋播きします。発芽の適温は20℃だそうです。移植時に葉が絡まることがあるため、直播きして間引く方が良いと言われています。日当たりが良い場所を好み、日陰では徒長してしまうそうです。涼しい温度が適していて、生育適温は5〜12℃だそうです。土壌と水管理については、保水性が良い物が適しているとか、排水性が良く乾燥気味に管理するのが良いとかと、言われています。個人的な経験ですが、土が乾きやすかったので、そのたびに水遣りしていました。


種類など
 11種としているのは「The New RHS Dictionary of Gardening」や「The Plant-Book」などの海外の図鑑で、18種としているのは「園芸植物大事典」、「最新園芸大辞典」、「原色園芸植物図鑑」などの和製の図鑑です。しかし、大抵の図鑑には、以下の種とその変種しか記載されていません。園芸的に利用されているのは、これら2種・2変種だそうです。

N. maculata Benth. ex Lindl.
ルリカラクサ(N. menziesii Hook. et Arn.、異名:N. insignis Douglas et Benth.
  var. atomaria (Fisch. et C. A. Mey.) Chandl.
  var. discoidalis (Lem.) Voss.


本棚以外の参考文献
  • Pemberton, L. M. S. et al., Epidermal patterning in seedling roots of eudicotyledons. Annals of Botany. 87: 649-654. 2001.

  • Ferguson, D. M. Phylogenetic analysis and relationships in Hydrophyllaceae based on ndhF sequence data. Systematic Botany. 23: 253-268. 1998.(摘要のみ参考)

  • Gottschling, M., et al. Secondary structure of the ITS1 transcript and its application in a reconstruction of the phylogeny of Boraginales. Plant Biology. 3: 629-636. 2001.(摘要のみ参考)

  • 文部省・日本植物学会.学術用語集 植物学編(増訂版・第5刷).丸善株式会社.1998年.

  • 本田正次ら監修.原色園芸植物大圖鑑.北隆館.1984年.

  • 塚本洋太郎.原色園芸植物図鑑[I]一・二年草編.保育社.1972年.

(2004.3.7.)
 
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