Point 4. 初心者は自動補正処理に頼ってはいけない
1.自動補正処理
たいていのレタッチソフトには自動補正処理というものがあります。ボタンをクリックするだけでレタッチソフトが勝手に画像を修正して見栄えよくしてくれる、という類のものです。レタッチ初心者はありがたいと思うかもしれません。しかし、『初心者こそ自動補正処理に頼ってはいけない!』と私は思うのです。それはレタッチの腕が上達しないからというだけでなく、以下のような問題があるからです。
2.自動補正処理では対処できない画像がある
まず、次の2枚の写真を見てください。左側の写真はレタッチサンプルのページに載っているNo.17のレタッチ前の写真です。右側の写真はそれをPhotoshop Elements 2.0の自動レベル補正機能を使って補正したものです。
右側の写真は明らかに不自然ですよね。こうなってしまったのは、Photoshop Elements 2.0の機能が足りないからではありません。元々、この写真はカラーバランスがグリーンに偏っており、それで正しい画像なのです。人間はそこに植物の緑の葉が写っているとわかるから正しく補正できるのです。そこに何が写っているのか理解できないレタッチソフトは、カラーバランスの偏りをなくすように処理しておかしな画像にしてしまったわけです。この写真の場合、自動補正処理は使えません。

自動補正処理は操作としては簡単です。しかし、正しく使うためにはレタッチの詳しい知識が必要なのです。だから、初心者こそ自動補正処理に頼ってはいけないと思うのです。だいたい、自動補正処理に頼っていたら、不自然な画像ができてしまったときにお手上げでしょ。
3.画像の劣化に気が付かない
レタッチを行うと画像は劣化します。画像が劣化するというのは、かならずしも画像が醜くなるということではありません。画像情報が失われたり不自然になったりすることです。レタッチを行って美しくなった写真も、画像情報という点では必ず劣化しています。そして、劣化が著しくなると、見た目にも醜い画像になってしまいます。

自動補正処理は内部で何をやっているのか見えないブラックボックス的な処理です。画像が劣化してもわからないことが多いのです。特にあぶないのがコントラストを高くする自動処理です。処理を行うたびに画像の一番明るい部分と一番暗い部分の階調情報が失われていきます。この処理を繰り返して何か画像が不自然だと思ったときには、もう修正不能なほど階調情報が失われています。その点、(手動の)レベル補正はヒストグラムという画像情報そのものを見ながら行う処理なので、知らない間に画像情報が失われるということがありません。ブラックボックス的な補正処理は極力避けるようにしましょう。