Point 6. 画像データの管理について
1.中間画像
皆さんも1枚の写真をいろいろな目的で使うことがあると思います。例えば、大きく印刷して壁に飾ったり、はがきに印刷して友人に送ったり、WEBページ上に掲載したり、...。同じWEB用画像でも、拡大写真とサムネイルのようにいろいろなサイズの画像があります。このようなさまざまな目的の画像を手軽に作れるところが、デジタル写真のいいところです。

ここで注意していただきたいのは、使用目的ごとに画像の解像度を変えなければならないということです。例えば高解像度で印刷するための画像は2560×1920ピクセル、WEB用の拡大画像は640×480ピクセル、WEBのサムネイル用画像は128×96ピクセルというような具合いです。

このように1枚の元画像からレタッチを経て複数の最終画像が作られます。また、1つの最終画像を作る過程でも中間画像(レタッチ途中の状態の画像)ができます。これらの画像のなかで、どのような画像をファイルとして保存したらよいか考えてみましょう。

最終画像をファイルに保存するのは当たり前として、よほどのことが無い限りレタッチ前の元画像も保存しておくべきです。後日、元画像からレタッチをやり直すことがあるからです。特に初心者の場合は少しレタッチを練習すると目に見えて上手になりますから、元画像からレタッチをやり直したくなることがよくあります。元画像としてはデジタルカメラの出力画像そのものか、トリミングなどごく簡単な処理を行ったものでもかまわないと思います。

それでは、レタッチ途中の画像はどうしたらよいでしょうか?レタッチ途中の画像であっても後で使いそうな画像はファイルに保存しておくべきです。典型的なパターンを1つお教えしましょう。

一般に、レタッチでは、解像度を落とす処理は極力後回しにします。例えば、デジタルカメラの出力が2560×1920ピクセルの画像だとすれば、なるべく2560×1920ピクセルのままレベル補正などのレタッチ処理を行います。解像度を落とすのはなるべく後の方で行うのです。そして、解像度を落とす直前の画像はファイルに保存しておきましょう。こうすれば、違う解像度の画像もこのファイルからすぐに作ることができます。実は、レタッチサンプルのページにある写真も全てこのようにして作ったものです。
2.画像ファイルの名前
パソコン上にたくさん画像がたまってくると、どこにどんな画像ファイルがあるのかがだんだんわからなくなっていきます。なんとかしなくちゃなりませんね。もちろん、画像管理ソフトのようなものを利用するのもよいのですが、ファイル名の付け方を一工夫するだけでも効果があります。

私の経験上、ファイル名に次の3つの情報を盛り込んでおくと、後日、画像を探すときに中身がわかりやすくて便利です。

    @ 写っているものを的確に表す言葉
    A どのようなレタッチ処理が行われた画像かを表す言葉や記号
    B 画像の解像度

@については同じ被写体が複数カットある場合など、通番をつけなければならないこともあります。また、レタッチの処理の流れは概ねパターン化できますので、Aについては比較的簡単な言葉や記号で十分です。大事なことは、1つの命名規則に従って統一的に全ての画像ファイルの名前を付けることです。

例を示しましょう。次のような命名ルールを作ったとします。

    (a) Aについて、元画像はorg、レベル補正だけ行った画像はlv、完成画像はrtで表す。
    (b) Bについては長い辺のピクセル数で表す。
    (c) @とAとBをハイフン(-)でつないでファイル名にする。

この場合、ファイル名は例えば次のような感じになります。

Fujisan2-org-2560.jpg (富士山を写した元画像で解像度は2560ピクセルのレベル)
himawari4-lv-640.jpg (ひまわりの元画像をレベル補正したもので解像度は640ピクセルのレベル)
orange1-rt-128.jpg (オレンジの元画像をレタッチした完成画像で解像度は128ピクセルのレベル)

このようにファイル名をつけておくと、中身がどんな画像かファイル名を見るだけでだいたいわかります。