4日目(8月16日)

昼前にホテルをチェックアウトし、タクシーで友人宅へ向かう。彼の家はマリナ・デル・レイにあり、今晩はここに泊めてもらうことになる。マリナ・デル・レイ付近は治安も良いらしく住むには絶好のロケーションということだ。彼のアパートは外観はちょっと古いが、趣があって巨大だ。彼の部屋までの道のりも結構入り組んでおり、道に迷う。ようやくたどり着いた部屋は、広くて白くてとても快適。
ひと休みする間、妻のリクエストにより彼にピアノでDR. JOHNの曲を数曲弾いてもらう。先にも書いたように、彼は同じバンドのキーボードであり、実際はELPのほうが得意なのだが、キース・エマーソンが弾くホンキートンク・ピアノのコピーをしたことがキッカケで、こういったジャンルにも興味を持ちだしたようだ(と、想像で書いている)。
再びレンタカーで出発。行き先は、私の希望でINGLEWOODにある「GREAT WESTERN FORUM」だ。マリナ・デルレイから車で30分程かかる。ここはツェッペリン・ファンにとっては一度は見ておきたい場所なのだ。かの「LIVE ON BLUEBERRY HILL」や「LISTEN TO THIS EDDIE」などのブートでもおなじみの数々の名演が、ここフォーラムで行われたのである。建物は当時のままかどうかは分からないが、とにかくここで演奏されたのだ。車でホールを一周する間、感慨に耽る。「Badge Holder!」「Nice to be back!」などの言葉を頭の中で再生する。

ここがいわゆるL.A.フォーラム

次に向かったのは、友人が働く会社「DIGITAL DOMAIN」である。思ったよりもこじんまりとした佇まいだが、ここでかの「TITANIC」のCGが作られたのだ。残念ながら中の見学は出来なかったので、彼がときどき昼食を食べにいくというベニス・ビーチまで歩く。と、ここで次の予定の時間が迫っていることに気づく。今日はこの後、ユニバーサル・スタジオへ行き「JURASSIC PARK RIDE」に乗り、その後またコンサートがあるのだ。「B.B.KING BLUES FESTIVAL」である。昨日のように遅れたくはない。車の中で食べるつもりで近くの店でチキン・サンドイッチを3人分買うが、これまたアメリカ風で、汁がぼたぼたの、食べているうちにバラバラと崩壊してくるタイプのヤツで、量も多い。私は苦労して半分食べたが、とても運転しながら食べられるシロモノではないため友人は食べられず終い。
ユニバーサル・スタジオにつくと大急ぎで中に入り、一目散に「JURASSIC PARK RIDE」へ向かう。入場料は1人28ドル。これでも友人の持っている「カリフォルニア州ID」のおかげで、通常よりも10ドルほど安くなっている。幸いにも15分待ちで乗れる。が、しかし内容的にはちょっと期待はずれだった。恐竜自体の作りも西武園にあるものの方が出来が良い。まあ、とにかく最後はずぶぬれになり、大急ぎで子供へのおみやげを買い、出口へ向かう。
今夜のライブ会場「UNIVERSAL AMPHITHEATRE」はユニバーサル・スタジオのすぐ隣にある。通常のカバンチェックを受けて、今回はなんとか間に合う。会場に入ると中はとても暗いが、目が慣れて落ちついてくると、とても良い会場だということは見て取れる。半円形にステージを取り囲む客席は、なだらかなスロープを描いている。客の年齢層はやはり比較的高く、落ちついた雰囲気。

ドクター・ジョンのステージ。ギター、ベース、ドラムに加え、コンガを含む編成だった。

今日の「B.B.KING BLUES FESTIVAL」のセットは現在アメリカ各地をツアー中で、我々の今回のコンサートめぐりの中でも一番期待していたものだ。
最初は「STORYVILLE」というバンドで始まる。このバンドは知らなかったが小気味のいいロックンロール系で、なかなか良い。終わると休憩が10分ほどあり、外で煙草を吸ったり酒を買ったりする。
次は「DR. JOHN」。日本でも最近ライブを観たが、今回のレパートリーはそれの縮小版といったところ。「SUCH A NIGHT」をやってくれたのが嬉しかったが、45分程でアンコールもなく終了。
次は「NEVILLE BROTHERS」だ。彼らを観るのはこれが初めてで、おおいに楽しみだが、休憩時間にまた外で煙草を吸ったり酒を買ったりして、トイレに行ってる間に演奏が始まってしまう。65分ほど演ったが、彼らの大ファンである妻にとっては選曲がちょっと物足りなかったらしい。私はおおむね満足。アーロン・ネヴィルの甘い、ヤギさんボイス(私は勝手にこう呼んでいる)も堪能できた。彼をフューチャーした曲が始まると、お客さんからはヤンヤの喝采。待ってました!というところだろうか。コーラスもとても上手く、そつのないステージはさすがだ。
そして最後が御大、「B.B. KING」である。最初の2曲はBBなしの演奏で、ジラしてくれる。3曲目でBB登場、会場おおいに盛り上がる。74歳(だったか?)の年を感じさせない余裕のパフォーマンスで、客とのやりとりもなかなか愉快。堂々たるエンターテイメントの一時間半だった。友人はBBのステージが一番気にいったらしい。 彼のアパートへ戻る途中、「RALPHS」というスーパーマーケットで買い物をする。晩御飯は友人への感謝の気持ちも込めて、妻がすき焼きを作ることになったのだ。材料を買うが、長葱が売ってないので似たような風貌の野菜を買う(結局それはニラに似たような味だった)。肉も日本のような薄切りが売ってないので、ブロック状のを買って薄切りにすることにする。アパートに帰り着いたのは夜中の1時過ぎ、料理が出来て食べ始めたときはすでに2時半を過ぎていた。4時過ぎに就寝。


「Universal Amphitheatre」のエントランス。終演後に撮影。


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