7日目(8月19日)

そろそろ疲れが溜まって来たので、今日はのんびり外輪船でミシシッピー川めぐりをすることにする。朝11時半発の「NATCHEZ」に乗船。2時間のクルーズの間、心地よいミシシッピーの風を受けて船縁でくつろぐ。川辺の景色はいまいち。
下船後、「CAFE DU MONDE」にて昼食。ベニエ(味は家庭で揚げたドーナッツといったところか)とコーヒー、オレンジジュースのあっさり系。この後はレコード店めぐりで、タワーレコードに始まり地元の小さな店を2件まわる。それぞれの店にはニューオリンズコーナーというのがあり、地元特産のCDを置いているのだが、そこから観光客がよく買うであろう、いわゆるニューオリンズっぽいお手軽CDを適当に見繕って買う。こういう機会に買っておかなければ、まず今後も買うことはないからだ。妻はNEVILLEのコンサートポスターの複製などを買う。ひとまず荷物を置きにホテルへ戻り、休む。


晩御飯は昨日の「ACME」の斜め前にある「FELIX」というシーフードの店へ。また生ガキを食べる。CROWFISH(ざりがに)も食べたかったのだが置いておらず、ウミガメのスープというのを頼む。何も考えずに食べれば結構旨い。こういうのを食べるときは何かをイメージしてはいけないのだ。 さて、ライブへ行く時間である。今日は一風変わったパターンで、ボーリング場でのライブだ。ちょっと遠いのでタクシーで行くが、途中、マルディグラのようなパレードに行き当たる。規模は小さいが山車が5つ程でていて、上からビーズをばらまいている。ブラスバンドも続き思ったよりも長い行列だ。この時期にこのようなものが見られるとは思ってもいなかったので、得をした気分。タクシーの運転手によれば、これは体の不自由な子供達のためのチャリティのパレードということだ。

ほどなくボーリング場「MID-CITY LANES ROCK 'N' BOWL」に到着。結構うらぶれた外観で、本当にこんなところでライブがあるのだろうかと訝しがりながら入場。中はちょっと薄暗く、10レーン程のボーリングのスペースが半分を占め、大きめのバーカウンターと小さなステージ、その隣にテーブル席がある。今日はとにかくボーリング場ということなので、先日ロスのメルローズで購入した、古着のボーリングシャツを着てきた。背中の絵柄が「RHINO」というレコードレーベルの絵柄になっているのが気に入って買ったのだ。しかし色がシアン100%の派手なもので、もしかしたらこんなところにしか着て来れないのではと言う気もしたので、ここぞとばかりに着用した。しかし案の定、誰もボーリングシャツを着ている人はおらず、唯一、バーのおねえちゃんが偶然にも私と同じ色のボーリングシャツを着ていた。 こんなところでボーリングするのもいいな、とか考えながらテーブルでビールを飲み、15分ほど待ったところで演奏が始まる。今日は「ZYDECO NIGHT」である。ザディコという種類のこちら特産の音楽らしい。出演は「THOMAS FIELDS」というアコーデォン奏者が率いるバンド。構成はギター、ベース、ドラム、アコーディオン、そして胸にアルミの洗濯板のようなものをつけスプーンでジャラジャラやる人で、この人はまるでカントリー・ベアに出てきそうな風貌をしている。さて、演奏が始まると待ってましたとばかりに、老若男女がステージ前にでてきてカップルで踊り始める。これには驚く。老人が多いが、みんなすごい勢いで踊る。最初は夫婦で踊っていると思っていたが、見ていると一曲ごとにパートナーを変えている。うーむ、なかなか楽しそうだ。民族性の違いをまざまざと見せつけられる。日本人の我々はそんな中に入っていくことが出来ず、ひたすら見ている。バンドはこの人たちの踊りのためのバックバンドだと言っても言い過ぎではない。そのうち、近くで踊っていないのは我々だけなのに気づき、踊りに誘われたら大変だ(笑)という思いもあり、バーの方へ退散する。こちらの方は我々に似た(?)タイプの人が多く、一安心。

ものすごい勢いで踊る老男女。

さて演奏のほうだが、これがまたすごい。コードが変わらないのだ。ワンコードで一曲、それが終わるとまたワンコードで一曲。曲の区別がつかない。極端なことを言えば、違うのはイントロくらい、といった感じなのだ。途中、ブルース進行の曲もあったものの、印象としてはほとんど変わり無い。たしかに踊るにはもってこいの音楽のような気もするが。ある意味でラモーンズ的とも言える(違うか)。演奏は続いていたが店を出て、流しのタクシーを拾いフレンチクオーターへ戻る。
時間はまだ早かったので再び「TIPITINA'S」へ行く。今日の出演は「THE ADAMS/GRIFFIN PROJECT」、もちろん知らないバンドだが、中へ入りステージを見て驚く。昨日「RHYTHM'S」に出ていた「へぼバンド」のキーボードとベースがメンバーの中にいたのだ。一瞬、だまされたか!と思ったが、演奏を聴くと昨日とは大違いで巧い。多分、昨日のはアルバイトで今日のバンドがメインなのだろう。ラッパ隊もばっちり決まっており、かなり楽しめた。30分ほどで演奏が終わったので、再びバーボンストリートへ繰り出す。一つどうしても見ておきたい店があった。それは老舗のジャズクラブ「PRESERVATION HALL」だ。古い店構えの店で、4ドル払えば古き良きジャズが聴けるのだ。しかし行った時間が遅かったため入れなかった。明日また来ようということで、ホテルへ戻る。途中、スタンドでホットドッグを買って食べる。怒涛の一日が終わり、今日もヘベレケだ。


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